兼平の子孫⁉︎

昨日少しだけ書きました、兼平に関する驚きの事実のお話です。

発端は京都下鴨のお弟子さんから聞いた話で、信州松本空港の近くに兼平の苗字を冠する土地があり、兼平を祭神とする神社もあるそうです。

また松本稽古場に、たまたま兼平と同じ苗字の方がおられます。江戸時代から続く老舗のお味噌屋さんの、奥様と娘さんです。

この2つの要素が私の中で結び付いていなかったのですが、昨日の松本新年会の時に本当にふと思い出して、お味噌屋さんの奥様にその話をしてみました。すると…
「確かに私の主人は松本空港近くのその土地の出身です」

なんと!

ある地域で同じ苗字ばかりの所もあるので、確実にはわからないのですが、私は知らず兼平と非常に縁が深い方々と稽古をしていたことになります。もしかすると娘さんは兼平直系の子孫かもしれません。

能楽をやっていると不思議な事がしばしばありますが、これも本当に不思議な御縁だと思いました。

松本新年会

毎年一月は新年会が沢山あります。

松本も例年、初稽古の後にお弟子さんのなさっているイタリアンのお店で新年会をしています。

今年の新年会はまず、子供が沢山いてとにかく賑やかでした。松本稽古場は最多で5人の子供が来てくれています。今日は4人で、子供テーブルでわいわい楽しそうでした。

また京大宝生会OBのご家族が神戸から、しかも新年会用のお楽しみ抽選会の準備までして来てくださいました。

抽選会で神戸のお菓子などいただき、美味しいお料理とワインもいただき、今年も一年がんばろうと皆で一本締めして終わりました。

夜は氷点下に下がった気温の中、松本城周辺では氷の彫刻コンテストが行われており、極寒の中で彫刻を作る人、出店を出す人、景気付けの演奏をする人などで賑わっていました。

さっき新年会で晩御飯食べたばかりの子供達が、早速出店でお菓子やソーセージを買っていました。。

今日は兼平に関する驚きの事実がわかったのですが、それはまた次回以降に書きたいと思います。

変わること、変わらないこと

今日は、能楽ではない伝統芸術をされている方々に、能楽を見ていただく機会がありました。

私はお手伝いに行っただけなのですが、色々と興味深い事がありました。

能楽がその成立期から殆ど変わらずに現代まで続いて来たという事は、言葉としては理解していました。

しかしこれは本当に特殊な例で、能楽と同時期に興った同じ日本の伝統文化でも、時代と共に多様に変化しながら今日に至ったものもあるのですね。

能楽のように古から変わらず現代に伝わるのは素晴らしい事ですが、その為に現代人には理解し辛いという面もあります。

また時代に則して変化していけば、各時代毎の日本人に分かり易くはなりますが、その芸術の原初にあった思想や技術を正確に後世に伝える事はむしろ困難になるのかもしれません。

どちらが良いのかを判断する立場には勿論ありませんが、どちらのあり方も共に日本の誇るべき伝統文化なのだと思います。

私は能楽一本槍で、他の伝統文化にあまり眼を向けずにこれまで走って来ました。

でもこれから先、若い世代や海外の方に対して能楽を伝えていく為には、能楽以外の様々な日本の伝統芸術を知っておく事も大切だと思いました。

兼平稽古

今日は来月4日に七宝会でシテを勤める能兼平の稽古を受けて来ました。

今井四郎兼平は木曽義仲配下の四天王と呼ばれた一人で、能のストーリーも義仲最期のシーンが最も重要な位置付けになっています。

同じく義仲の最期を描いた巴という能がありますが、興味深い事があります。

能兼平の中に「巴」という名前は一度も出て来ず、また能巴にも「兼平」は全く登場しません。

そしてどちらの能のシテも、義仲に最後まで付き従ったのは自分であると語っているのです。

主君への敬愛の念は自分が一番強いという事を、幽霊となってまで互いに譲らず主張している巴と兼平。

どちらも義仲への想いの強さをひしひしと感じます。

しかし今回気が付いた事があります。

巴は曲の最後に、自らの執心を弔って欲しいと言って消えて行きます。ところが兼平は最後まで自分の心中には全く触れず、先ずは主君義仲の弔いをして欲しいとワキに頼んでいるのです。

兼平には、修羅道の苦しみや妄執を超えたレベルでの主君への想いがあるのかもしれません。

修羅としては異色の存在と言える兼平。その心持ちに少しでも近付けるよう、本番まで試行錯誤しながら稽古していきたいと思います。

北の町2

昨日は雪が生活を脅やかす一面があると書いたのですが、北の町を歩いてみると雪を逆手にとって楽しむイベントもあることがわかりました。

雪合戦のすごいやつですかね。

雪女は能には出て来ないのですが、信州などでは雪女は山姥の姿で出て来るようです。葛城の前シテがむしろ雪女に近い気がします。金剛流には「雪」という雪の精をシテにした能があります。

今シーズンはまだまだ雪ネタがありそうな気がします。。

北の町

京都から新幹線で本州を縦断して、今日は私の行動範囲で最も北の町での仕事でした。

この町も当然雪の中でした。今シーズンは各地で雪に会うことが例年よりも多いです。

京都の雪と大きく違うのは、ここでの雪は生活を脅やかすものだという事です。

雪かきや雪下ろしは本当に重労働な上に、ようやく終わってもすぐまた雪が降って元に戻ってしまうそうです。それが長い冬の間延々と続くのです。

京都の雪を見て風情があるなどと思った自分を反省してしまいました。

能鉢木のシテ謡でも、同じ雪が立場によって全然違うものに感じられる、という意味の事が謡われています。

雪に限らず、ひとつの事柄を見た時に、人によって見え方が全く違うのだという事を、常に心に置いて行動したいと思いました。

大山崎新年会も雪でした

今日は大山崎の新年会でした。

今日は止むかと思ったら、雪がまだまだ降っていました。

大山崎新年会では、この10数年変わらずに、謡をうたった後にある鍋を食べる慣わしになっています。

この鍋がシンプルなのにとても美味しいのです。

先ず鍋に水と日本酒を同量入れて沸騰させます。具材は、ちぎったレタスと豚バラ肉だけ。軽く火を通したらもう完成です。

取り皿には大根おろしとネギを沢山入れて、これにポン酢と「かんずり」という新潟の辛い調味料(全国で買えるようです)を加えます。

これだけで驚くほど美味しいので、読んだ方は是非お試しください。

…と言うより、大山崎稽古にいらしていただければ毎年必ず食べられます。大山崎稽古は、毎月1回月曜日朝10時から、大山崎の宝積寺でやっております。

宝積寺には、本物の「打ち出の小槌(正確には打ち出と小槌)」があったり、1200年以上続く「鬼くすべ」という珍しい追儺式があったり、国宝級の閻魔大王像があったりと、お寺自体が大変に見所の多い所です。

大山崎稽古と鍋に興味を持たれた方は、お問い合わせフォームよりどうかお気軽にお問い合わせくださいませ。

雪の京都

下鴨の初稽古は雪になりました。

新幹線が1時間遅れで、お弟子さんもさぞかし少ないかと思いきや、皆様元気に沢山いらしていただいて、賑やかに初稽古をさせていただきました。ありがとうございました。

京都の冬の寒さは未だに慣れないのですが、京都の雪景色は何故か他の所とは違う味がある気がします。

今朝の新幹線から

稽古場の御庭

平成29年七宝会年間予定

平成29年七宝会年間予定です。

舞台出演予定のページにもアップしてあります。何故かそちらの方が文字が鮮明です。

どうかよろしくお願いいたします。

受験シーズン

今日は寒い中を五雲会に沢山の方がいらしてくださいました。ありがとうございました。

今日明日はセンター試験ですね。大学に限らず、小中高でも受験シーズンが本格的に始まっています。

能の舞台は合格、不合格がつく訳ではないのですが、それでも本番は大変緊張します。

ましてや受験生の皆さんの心中を思うと、我が身に非ずとも胸に苦しき手を置く気持ちになります。

この時期に必ず京大宝生会で話題になるのですが、この春に入部するかもしれない誰かが、今まさに受験を闘っているのです。

そう思うと、まだ顔も名前も知らない誰かに「頑張れ!」と言いたくなってしまいます。

どうか受験生の皆さんが出来るだけ良いコンディションで本番を迎えられますように。

そして春になったら、自分の学校か或いは近くの学校の能楽部宝生会の扉を叩いてほしいです。

健闘をお祈りします。