大雪の青森稽古

18日の日曜日に芦屋稽古をして、翌月曜日には長岡京稽古から移動して夜に松本稽古でした。

そして昨日火曜日には松本から青森まで移動して稽古。

本州の半分を一気に移動しました。

天気予報では昨日あたりから強烈な寒気が来て、青森でも大雪の恐れがあるようでした。

私は例によって完全に東京の街中の服装で、コート無し、手袋すら無しです。

青森はどんな状況なのか、少々ビクビクしながら東北新幹線で北上して行くと…

盛岡の手前くらいで外は強風と吹雪になりました。

青森がこれだと大変だ…

と今度はかなりビクビクしながらさらに進んで、新幹線は新青森駅に到着しました。

幸い雪は小止みでしたが、非常な寒さと強風です。

青森まで移動すると、先ずは100円ショップに直行して防寒手袋を購入。

宿で体制を整えて青森稽古場に向かいました。

稽古の始まる19時半頃になると、雪が激しくなってきました。

稽古が終わって外に出ると、わずかな時間で5cm以上積もっている感じです。

ここ数年の青森稽古ではこんなに雪に降られた記憶は無いので、かなり驚きました。

青森はしばらくは氷点下の気温と雪が続きそうです。

私は雪の青森を出て、これから仙台稽古に移動します。

電車が正常に動いてくれることを祈りながら…

七宝会での能「車僧」

来る2月7日(土)に大阪枚方市にて七宝会第一回公演が開催されます。

私は能「車僧」のシテを勤めさせていただきます。

「車僧」は実は前々から演じてみたかった能です。

“天狗”とは”山伏”が修行中に魔道に堕ちた姿だという説があることをこの曲で知りました。

そして仏道の修行をしている者を魔道に引き込もうとする方法が、力尽くではなくて「行くらべ」というのも好ましいです。

シテの太郎坊天狗は、自らの”魔道修行”よりも車僧の”仏道修行”が勝っていると認めて、頭を下げて去っていきます。

「車僧」と同様に能「是界」「大会」に出てくる天狗も、やはり最後は「ごめんなさい!」と謝って逃げて行くのです。

どことなく憎めない悪者、というのが能における天狗の立ち位置で、私はこういうキャラは好みなのです。(尤も鞍馬天狗は例外で、威厳ある正義の天狗です)

今回の能「車僧」のシテを勤めるにあたっては、天狗の神通力を最大限に発揮して、ギリギリまで車僧と渡り合う大天狗太郎坊の迫力ある姿をお見せできればと思っております。

チケットのお申し込みは、下の私のアドレスに直接メールをいただければご用意させていただきます。

sawadak0515@yahoo.co.jp

どうかよろしくお願いいたします。

雪の洗礼

年明けからしばらくは東京近郊での仕事が続いていたのですが、今日は今年初めて関西方面に稽古に出ました。

早朝の新幹線に乗ったのですが、名古屋あたりは薄っすらと雪化粧しておりました。

そして関ヶ原あたりでは…

完全に雪景色で、新幹線は徐行運転になりました。

関西初稽古はいきなりの雪の洗礼です。

伊吹山の山頂も鉛色の雪雲の中でした。

今日の新幹線はそれでも15分くらいの遅れで済みそうです。

明日以降は松本稽古や青森稽古など、寒い地域の仕事が続きます。

雪の影響なども考えられますが、自然には逆らえないので、安全第一に移動して稽古したいと思います。

貴妃酔酒

私の兄は上海の女性と結婚しております。

昨年には上海近郊に家を購入して、将来的にはそこでずっと暮らすそうです。

その兄と兄嫁に招待してもらい、年明けに数日間上海旅行に行って参りました。

昨年末から日中関係は緊張しており、果たして上海に行って良いものか少し考えました。

しかしそれは政治の話。

おそらく私のような民間人レベルでは問題ないだろうと思って予定通り上海に向かいました。

着いてみれば予想した通り何の問題も危険も無く、とても楽しい数日間を過ごせたのです。

私は高校生の時に一度上海に行っているのですが、その時とは全く別の街になっていました。

映像で見たことのある摩天楼は、実際に見るとより刺激的な風景で、まるで現実ではない世界に迷い込んだようでした。

超高層ビルと伝統的な建物が混在して、さらに至る所で新たな工事が進められている上海。

今後ますます発展していくエネルギーに満ち溢れた都市です。

そして兄嫁の知人達との会食の途中で、実に興味深い体験をいたしました。

会食していた個室で京劇「貴妃酔酒」

を見せていただいたのです。

貴妃とは楊貴妃のこと。

有名な曲なのでおそらく以前にもどこかで目にした事はあったと思いますが、至近距離で拝見したのは初めてです。

舞の途中で何箇所か驚いた場面がありました。

扇と袖の使い方が能楽とそっくりだったのです。

例えば上の写真は「二段オロシ」の型。

こちらは「ヒキワケ」という型に酷似しています。

全体的な動きは能楽と日舞の両方の要素が混じった感じでした。

やはり中国には日本の芸能の源流があるのだと再認識いたしました。

今は時勢が許しませんが、いつか中国の地で能楽と中国伝統芸能の交流が出来たらと願っております。

大変有意義な上海旅行でした。

2026年の予定

2026年の色々な予定をお知らせいたします。

先ず今年のシテの予定は、

2月7日(土)能「車僧」七宝会 枚方市芸術文化センター

11月21日(土)能「三輪」宝生会定期公演 宝生能楽堂

以上になります。

また今年の澤風会大会は、
3月14日(土)東京澤風会郁雲会大会 宝生能楽堂 10月4日(日)京都澤風会20回記念大会 大江能楽堂
11月8日(日)松本澤風会大会    深志教育会館
の予定です。

それ以外に

6月6日(土)京都大学宝生会創部70周年記念自演会 大江能楽堂

8月8日(土)9日(日)七葉会 宝生能楽堂

9月23日(祝)自治医科大学宝生会第1回自演会

11月15日(日)七葉會 宝生能楽堂

などが予定されております。


今年も稽古場や能楽堂で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。

2026年の賀詞交換会

皆様あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年は喪中で参加出来なかった宝生能楽堂での「賀詞交換会」に先ほど参加してまいりました。

「あけましておめでとうございます」

「おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします」

在京楽師の大半が揃った楽屋の其処此処で、30分ほどかけて新年の挨拶が交わされます。

今年は子供の数が例年より多く、初めて会う子供さんも何人かいて華やかなお正月気分が一層盛り上がりました。

そして賀詞交換の後は全員で舞台に並び、

宝生和英家元のご発声で「七宝」を謡いました。

この数十人の能楽師で謡う七宝はいつもながら大音量大迫力で、その中に混じって謡っていると「今年も頑張って謡っていこう!」という気持ちに自然となります。

今年はまた、最前列に並んだ子供達の声もとても良く聞こえました。

宝生流の未来を担う子供達が、きちんと稽古をして「七宝」を謡う姿は実に気持ちの良いものでした。

今年も昨年同様に、稽古や舞台に精進して参ります。

皆様重ねて本年もご指導ご鞭撻の程どうぞよろしくお願い申し上げます。

水戸黄門スペシャルに出演いたしました

時代劇「水戸黄門」は子供の頃から幾度となく視聴しており、あの「人生楽ありゃ苦もあるさ〜」という歌は頭に刷り込まれております。

その国民的番組の年末スペシャルに少しだけですが出演させていただきました。

9月に京都太秦で泊まりがけの撮影があり、12月28日にBSTBSで放映されました。

再放送が以下のTverにてご覧いただけます。

年末年始のお休みにもしお時間ありましたらご視聴くださいませ。

ちなみに昨日一緒に観た人たちは、何故か私が出ると爆笑していました。。

水戸黄門スペシャル

#TVer

自治医大宝生会の謡納

昨日は下野の自治医大キャンパスでの自治医大宝生会の「謡納」に行ってまいりました。

試験や実習で多忙な日々を送る自治医大生、12月は特に忙しかったようで、今月初旬に宝生能楽堂で開催された「関宝連」にも出演が叶いませんでした。

その代わりの舞台という意味もある今回の謡納です。

番組は、学生達の仕舞「高砂」「竹生島」「花月キリ」「箙」「殺生石」

と、素謡「鶴亀」「加茂」。

そして最後に番外仕舞「右近」鶴田航己と「葵上」澤田宏司。

もちろん附祝言もありです。

こんな感じのホッコリとした予定表を送ってもらい、私と鶴田航己君は午後から参加しました。

15時頃に自治医大に到着すると、先ずは普通の仕舞稽古です。

何しろ師匠稽古は夏合宿以来という人もいるので、謡納本番前の突貫工事的な稽古でした。

しかし学生達は稽古動画などでできる限りの自主稽古をしてきてくれたので、非常に飲み込みが早く順調に稽古が進みました。

予定を少し遅らせて、16時半からいよいよ謡納スタート。

今回は私と鶴田航己君も仕舞地に入り、皆今年習った仕舞を頑張って披露していきます。

今年3月の東京澤風会、6月の金沢全宝連、11月の松本澤風会などの舞台の有様が思い出されて、とても感慨深い仕舞でした。

続いての素謡は学生だけで謡ってもらいました。

今年入部した新人2人がシテワキを勤めた「鶴亀」と、上回生3人がシテワキツレを勤めた「加茂」。

どちらも良く声がでており、特に「加茂」の上回生3人はそれぞれが以前聴いた時よりも明らかに大きな声になっており驚きました。

まさに今年1年の活動の成果を体感できた自治医大宝生会の「謡納」でした。

そして番外仕舞の後に全員で「千秋楽」を謡って締めました。

仕舞「高砂」が出ているので、本来なら千秋楽ではない祝言を謡う決まりです。

しかし「千秋楽」をまだ知らない学生がいたので、この機会に覚えてほしいと謡納の前に稽古したのです。

無事に謡納を終えた自治医大宝生会ですが、もう一つ大切な予定がありました。

6月の全宝連金沢大会の後に「全宝連打ち上げ」と称して宴会をした小山駅近くの「遠囲屋」という居酒屋さんで、謡納の打ち上げをすることになっていたのです。

これは全宝連打ち上げの時に店主のトーイさんと約束したことで、皆で自治医大から小山に移動して盛大に宴会しました。

謡納、宴会ともに素晴らしい内容で、これを今後毎年の行事として続けていってもらいたいと思います。

自治医大宝生会の皆さん今年も1年お疲れ様でした。ありがとうございました。

各地での”良いお年を”

今週は各地の稽古場で今年最後の”稽古納め”が続いています。

一昨日の月曜日は松本澤風会の稽古納め。

松本は氷点下−4℃の寒さで、松本駅からの北アルプスも雪化粧でした。

その松本稽古納めで会員さんから”干し柿”をたくさんいただきました。

今年は当たり年でなんと1000個もの干し柿を作られたそうです。

その干し柿を携えて火曜日朝に京都”ゲストハウス月と”さんでの京都稽古納めに移動。

稽古の合間に美味しい干し柿と美味しい烏龍茶をいただきながら、いろんなお話に花が咲きました。

今日水曜日は、江古田で来年3月の東京澤風会郁雲会で出る舞囃子と能の稽古。

こちらの皆様も稽古納めで、私はこの三日間、

「今年も色々とありがとうございました。どうか良いお年をお迎えくださいませ」

というご挨拶を各地で繰り返しております。

「良いお年を」と何度も申し上げていると、年末気分が否が応でも高まって参ります。

明けて木曜日もまた稽古納めがあります。

最後まできちんと稽古して、良い気分で

「良いお年を」と締められるように明日も頑張りたいと思います。

二人での共地仕舞

昨日は京都大江能楽堂にて「関西宝生流学生能楽連盟自演会」が開催されました。

今回も熱気ある素晴らしい舞台で、印象に残る演目がいくつもありました。

その中でも特に感服したのが京都女子大による「共地」の仕舞でした。

「共地の仕舞」とは、地謡が一列に並び、その中からシテが交代で立って舞うやり方です。

地を謡ってすぐに舞ったり、仕舞を舞ってすぐに地を謡ったりするので、通常のやり方よりも少々大変です。

しかも昨日の京女さんの共地はもう一段難易度が増していました。

「地謡1人、シテ1人の共地」

だったのです。

過去に地謡1人シテ1人という舞台は何度か観たことがあります。

しかしそれらの舞台は、一番終わったら一度退場して、少し時間を空けてから地とシテが交代してもう一番を舞う、というパターンでした。

これが共地になると、

「自分が舞った直後にたった1人で次の地謡を謡う」

あるいは、

「地謡を1人で謡った直後に立って仕舞を舞う」

という事になるのです。

これは単に稽古を重ねて舞と謡を覚えるだけでなく、メンタル的な強さも必要不可欠です。

このやり方は難易度最高レベルだと私は思うのですが、京女宝生会2回生のお2人は「羽衣キリ」と「吉野静キリ」の仕舞をそれぞれ立派に舞い、謡っていました。

羽衣キリの地を謡い終えた2回生が、扇を置かずにそのまま両手に持って立ち上がり、スッと大小前に行って下に居、そして朗々とした声で、

「おおかた舞のおもしろさに〜」

とシテ謡を謡い出した姿は実に格好よく、痺れるような感動を覚えました。

あまりに感服したので、後席の時に京大宝生会の部員達にその話をしました。そして思わず、

「京大宝生会でも”2人の共地仕舞”をやってみよう!」

と提案してしまいました。

京大宝生会では隔年で「仕舞100番舞う会」を開催しており、来春にまた開催される予定です。

そこで、部員を2人ずつに分けてチームを組んで、共地仕舞に挑戦してみたいと思います。

素晴らしい舞台をみせてくれた京女宝生会のお2人、どうもありがとうございました。

またその他の大学の皆さんも熱い舞台をありがとうございました。お疲れ様でした。