隙間花壇〜物語は続く〜
「隙間花壇」。
三ノ輪の自宅マンションと隣の建物の隙間に、様々な四季の花の咲く不思議な空間があり、私は日々その前を通るのを楽しみにしていました。
最近では、「ツツジ」の花が2年ぶりに咲くかどうか、その成長を見守る毎日でした。
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しかしちょうど1ヶ月前の4月初めのこと。
いつものように「隙間花壇」の前を通りかかった私は目を疑いました。
なんということか、「隙間花壇」は工事で掘り返されて跡形も無くなっていたのです。。
マンション1階のレンタカー店が閉店することになり、たしかに昨日は終日工事の音が響いていました。
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何年もの間その様子を見続けて、今では私の日常の欠かせない一部となっていた「隙間花壇」と、このように呆気なくお別れしなければならないとは…。
コロナウイルス禍で滅入る心に追い討ちをかけるようなショッキングな出来事でした。
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そしてそれ以来、今度は「隙間花壇」の跡を通る度に立ち止まって溜息をつく日々でした。
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ところが。
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昨晩いつものように「隙間花壇」の跡で溜息をつこうとした私は、再び目を疑ったのです。
夜目にも、あの「隙間花壇」の佇まいが戻っているのがわかりました。
夢かと思いました。
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明けて今日、改めて見に行ってみました。
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やはり多少のレイアウトの違いはあれど、あの「隙間花壇」の植物達が帰ってきていました。
推測ですが、「隙間花壇」の管理人であるパン屋さんのご主人が、工事のことを聞いて植物達を何処かへ避難させていたのでしょう。
そして工事が完全に終わったのを見定めて、再び植え直したのだと思います。
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「紫陽花」。
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紫の花が咲く「ツルニチニチソウ」。
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そして「ツツジ」もちゃんと戻ってくれていました。
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他の場所では、すでに春から初夏の花々がたくさん咲き誇っています。
引き換え「隙間花壇」の植物はこれからようやく根付いて成長を始めるところです。
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まるで周回遅れでスタートしたランナーのようですが、この先もその成長を見続けられる喜びをかみしめながら、遅咲きの花々を待ちたいと思います。