下からの突き上げ
今日は熱海のMOA能楽堂にて、親子向け能楽教室の舞台に出演して参りました。
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能は「土蜘」で、シテが辰巳大二郎さん、頼光が辰巳和磨さん、小蝶が藤井秋雅さん、トモが上野能寛さんと、とても若い能楽師たちの舞台でした。
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私と同時期の内弟子世代よりも、ふた世代ほども入れ替わった下の世代達が、500人の満員の見所の前で堂々と「土蜘」を演じていました。
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これまで私は先輩達の舞台を見て、「なんとかあのように謡ったり舞ったりしたいものだ」と、少しでも追いつくために努力をして参りました。
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しかし今日若手の舞台を地謡から見ていて、「下からの突き上げ」という言葉が頭に浮かんできたのです。
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少しでも気を抜いていると、この若者達に追いつかれ、追い越されてしまうかもしれないな…
と、改めて気を引き締めました。
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しかし一方で、そのような勢いのある若手がいてくれるのはとても有り難いことだとも思いました。
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先輩達に追いつこうとする努力と、下の世代に追いつかれないようにする努力。
この先は二重の努力が必要であり、結局はその努力が私自身の芸を磨くことに繋がるのでしょう。
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「下からの突き上げ」のおかげで、自分の立ち位置と今後の方針を自覚することが出来た、有り難い舞台でした。