小本を探して
以前にブログで書いたことがありますが、私は仕事が一段落すると、それまでの期間に使っていた”小本”こと「袖珍一番本」を一気に片付ける習慣があります。
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今回も松本澤風会が終わったタイミングで、何十冊もたまっていた小本をずらりと並べて片付けようとしました。
するとなんと「梅枝」の小本だけが、どこを探しても無いということに気がついたのです。
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私の小本は、東京芸大を受験すると決めた頃に、小川芳先生に頼んで購入していただいたものです。
以来約25年の間、181番が1冊も欠けることはありませんでした。
いつかは失くなる本も出てくるだろうと思っていましたが、ついにその日が来た訳です。
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小本はバラ売りしていないので、古本を探すしかありません。
今日は水道橋宝生能楽堂で、藪克徳くんのお社中会「篁風会」の申合だったので、それが終わってから神保町の謡曲専門の古書店「高山本店」に足を伸ばしました。
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私の小本は表紙が深緑色の”昭和本”というタイプです。
しかし他のタイプも色々あるので、全く同じもので無くても仕方ないと思いつつ探し始めました。
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高山本店には、何故か古書店でよく行き合う小鼓方の田邊さんもいて、一緒に探してくれました。
しかし、「梅枝」は稀曲ということもあり、なかなか見つかりません。
田邊さん「梅枝の小本はさすがに無いですね…。」
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私もまあ無理かな…と思いかけた時。
目の隅に、見慣れた深緑色が見えたのです。
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よく見るとなんと大量の深緑色の小本が、ダンボールに入ってバラ売りになっていました。
喜び勇んで100冊以上ある小本を調べていくと…
私「ありました梅枝!」
田邊さん「おお〜!おめでとうございます!」
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という訳で、新品同様の小本「梅枝」を、再び入手できたのです。
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気を良くして更に店内を見ていると、これまた探していた「図解仕舞集第八巻」を発見。
この本は絶版で、やはり古本を探すしか無かったのです。
今日は探し物が見つかる日だったようです。
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今の時代、謡はスマホやタブレットに入れて覚える事も可能です。
その利点も確かにあると思うのですが、やはり私は”紙の本”を手繰って覚える方が良く頭に入る気がするのです。
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今回私の手元に来てくれた小本「梅枝」は、早速来月の仕事で活躍してもらうことになります。
この「梅枝」を含めて、今後は小本をもう失くさないように、大切に使おうと改めて思いました。