怒涛の8月を終えて
今日から9月になりました。
思えば8月は、水道橋宝生能楽堂にて能「鵺」を稽古しながら迎えたのでした。
そして正に怒涛のように過ぎていきました。
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9月は一応静かに布団の中で迎えたのですが、果たしてどんな月になるのでしょうか…?
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9月1日といえば、小中高生の頃は始業式の日でした。
ひと月半ぶりに教室で同級生達と再会して、夏休みの話などをしたものです。
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高校の時には陸上部だったので、夏休みも毎日練習でした。
始業式で会う運動部の連中は、私も含めてひと夏の練習で黒く日に焼けて、筋肉がついて一回り大きく逞しくなったように見えました。
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時は流れて、私の今年の9月1日は通常の亀岡稽古でした。もう始業式は無いのです。
そしてこの夏は、陸上部のようなトレーニングも勿論しませんでした。
しかし今年の8月を思い返してみると、心に強烈に残る出来事がいくつもありました。
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ひと月で4回通った岡山吉備津神社の子供能楽教室。
薪能で初めてシテを勤めた松本城薪能では、雨雲が逸れてくれるように天に祈りながら能「鵺」を舞いました。
東広島のこども園での能楽教室では、1〜4歳児40人を相手にするという得難い経験をしました。
初めて銀座の観世能楽堂にて舞囃子を舞った佳名会。
そして8月最終日の昨日には盛岡で、伝統文化活動の担い手が集まってのセミナーでの発表という、これも全く初めての経験をいたしました。
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他にも七葉会の舞台や、琥珀の会立ち上げの稽古や、京大宝生会合宿などなどがあり、それら全てがまた自分の肥やしになったと感じます。
日焼けもしていないし、筋肉も増えておりませんが、夏の前の自分よりも少しだけ強くなった手応えがあります。
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宝生流の在京能楽師にとっては、始業式に近いのが9月9日の月並能だと思います。
8月は定例会が無いので、宝生能楽堂に約ひと月半ぶりに楽師達が集まるのです。
皆さんどんな経験を積んで、どんな顔でまた水道橋の楽屋に戻ってくるのでしょうか。とても楽しみです。
私もこの夏の経験を活かして、また秋の能楽シーズンに全力で向かっていこうと思っております。