贅沢な能楽教室
今日は京王線沿線の女子中学校で能楽教室のお手伝いをして参りました。
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中学2年生を対象に毎年この時期に開催される能楽教室で、私ももう5回目くらいの参加になると思います。
「今年の子供達は、ちょっとやんちゃらしいですよ」と事前に聞いていたのですが、始めてみると騒ぎもせず、飽きて余所見したりもせずに、面白いところでは良く笑ってくれるという、非常に有り難い素直な生徒さんたちでした。
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朝9時から午前中いっぱいをかけて、四種類の能楽囃子と仕舞の所作を全て体験して、最後に「船弁慶」の一部を鑑賞するというとても贅沢な能楽教室です。
おそらく大半の生徒さんが「能楽」というものに初めて触れる機会だったはずです。
これはある意味で責任重大です。もしここでマイナスの印象を持たれてしまったら、この人たちは今後の長い人生で能楽に二度と接してくれないかもしれないのです。
逆に「能楽は面白かった」という記憶が強く残ってくれたら、将来舞台を観に来てくれたり、稽古を始めたりしてくれる可能性もあります。
果たして今日の生徒さん達の反応はどうでしょうか…?
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例えば大鼓の体験の時のこと。
大鼓は構えて打つのもさることながら、「よ〜オ〜、ほ〜オ〜」という「掛け声」がなかなか難しいのです。特に「オ〜」の部分で裏声になるのが、大人でも恥ずかしくて出来ないことが多いのです。
しかし今日は声を揃えて「よ〜オ〜!」と裏声もしっかり出してくれていました。
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最後の能楽鑑賞でも、ほんの数人が眠そうでしたが大半はとても熱心に鑑賞してくれました。
つい先程自分たちが体験したお囃子の音や掛け声や、また仕舞の動きなどが、すぐ目の前で演じられるのですから、舞台への心の入り方が全く違うのでしょう。
この生徒さんたちの心に「能楽」が良いものとして残ってくれているように願っております。
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終わって教頭先生に、「やんちゃどころか非常に大人しく素直な良い生徒さんでした」と話したところ、先生は「いや〜、それはお互いに牽制し合っていたのでしょう」と仰いました。
成る程。やんちゃしたり牽制し合ったり、色々難しい年頃なのですね。。