亀岡の花々〜木の実の段〜

今日は暦の上では「立冬」だそうですね。

冬の気配を感じる筈の日ですが、亀岡稽古に行ってみると日中は暖かく、小春日和でした。

この時期になるとさすがに花は殆ど咲いていませんが、かわりに色々な「木の実」が見られました。

遠目にも鮮やかな赤色の中に、黒い実が点々とあってなかなかインパクトがあります。

これは「ベニバナヤマシャクヤク」の実です。

花は「芍薬」の名前の通りにピンク色の楚々とした風情なのですが、実の方は何か妖艶な美しさでした。

赤い実の「ヤブサンザシ」です。

名前の由来はこの実が「サンザシ」の実に似ているからで、全く違う植物だそうです。

美味しそうに見えるこの実なのですが、食用になるのは「サンザシ」の実の方で、残念ながら「ヤブサンザシ」の実は食べられないらしいです。

「ハクサンボク」です。

こちらの実も何となく食べられそうですが、これはホワイトリカーに漬けて果実酒に出来るそうです。

因みに「赤い実」は、鳥に食べてもらい易いように目立つ色をしているが、じつはそんなに美味しくなくて、目立たない色の実の方が美味しい、という説を聞いたことがあります。

次はそのような地味な色の実を紹介します。

これは「シロヤマブキ」。

こちらは前に花も紹介した「ヤブラン」です。

「ヤブラン」の実は、実際食べて美味しいと書いている人がいました。「シロヤマブキ」の方は調べてもわからなかったので、おそらくアウトなのでしょう。

どちらも「草木染め」の材料になるようです。同じ黒い実でも、染めると「シロヤマブキ」は薄緑色、「ヤブラン」は紫系の色になるようで、実の色と全く違う色になるのが草木染めの面白いところです。

石の隙間に本当にひっそりと、小さな花が咲いていました。

これは「キチジョウソウ(吉祥草)」だそうです。

この花が咲くと良いことがあるということなので、最後に見られて何か嬉しい気分になりました。

能「通小町」には、小野小町の霊であるツレが様々な木の実を歌うように紹介する内容の箇所があり、「木の実の段」とも呼ばれます。

私の紹介ではそれこそ「花」がありませんが、これにて「亀岡版・木の実の段」をお終いにさせていただこうと思います。

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