先日ある稽古場で舞囃子の稽古をしている時の事です。

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私「そこは大小前のもっと高めで前を向いてください」

シテの方「？高めと言うのは、前めですか？後ろめですか？」

私「…！すみません、前の方という事です」

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なるほど、確かに舞台上で前寄りを「高い」後ろ寄りを「低い」というのは、能楽師の使う専門用語です。

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他にも謡の速さで「運ぶ」は早くする事、「締める」は遅くする事、と言った専門用語が沢山あります。

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普段私は、これらの専門用語はあまり積極的に使わずにより平易な言葉で稽古するようにしています。

しかし、専門用語でしか表現できない微妙なニュアンスもあるので、これらが廃れてしまうのは良くないと思います。

時間がある時には用語の解説も織り交ぜて稽古する事が大切だと思いました。