鞍馬天狗 天狗揃

今日もまた水道橋宝生能楽堂に行き、「秋の別会能」に出演して参りました。

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私は能「鞍馬天狗 天狗揃」の地謡を勤めました。

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「天狗揃」という小書(特殊演出)は、宝生流の定例会では数十年に一度しか出ておりません。

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通常の「鞍馬天狗」の後場では、シテ大天狗が1人出るだけです。

しかしこれが「天狗揃」になると、ツレ小天狗が7人、シテと合わせて計8人の天狗が登場して、それぞれ順番に牛若丸に稽古をつけていきます。

ちなみにツレは”小天狗”と言いながら、実はそれぞれが主役を張れるほどの名のある天狗達なのです。

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最後の部分で大天狗は牛若丸に、

「今後の合戦においては、我々天狗勢が影ながらあなたに加勢いたしましょう」

と告げて鞍馬山中に消えて行きます。

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今日の場合はその言葉が、全国の有名な天狗達を引き従えた大天狗から告げられる訳で、謡っていて大変な説得力を感じました。

義経が平家との合戦において連戦連勝したのは、彼ら天狗の超人的な能力に助けられたからなのかもしれません。

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一ノ谷で、また屋島や壇の浦で、宙空を翔け回って源氏に加勢する無数の天狗達を想像して、何かそんなお話でも書いたら面白いかも…

などと思いながら帰路についたのでした。

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