六条御息所の形態変化
今日は午前中に宝生能楽堂で五雲会の稽古がありました。
私の「葵上」も勿論稽古していただきました。
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悪戦苦闘の末に、謡と型はようやくひとつの方向にまとまろうとしております。
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しかし、「葵上」には謡や型とは別の、ある難しい問題があるのです。
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シテ六条御息所が一番上に纏っている「唐織壺折」という装束がそれです。
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この一枚の「唐織壺折」という衣が、「葵上」一曲の中で様々に形態を変えて使用されるのです。
そして衣の形態変化に合わせて、六条御息所は”人間の姿”から”真の鬼の姿”へと少なくとも4通りに変化していきます。
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その衣の使用形態の変わり目で、シテの技能が色々と必要になるのです。
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この衣の扱いが上手くいかないと、変化した姿がいびつなものになってしまいます。
しかし何度かある変化の全てが上手くいくかどうかは、「時の運」による部分もあるのです。。
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この衣の扱いの稽古もしっかりとしておいて、美しくも恐ろしく変化していく六条御息所の姿を本番の舞台でお見せ出来ればと思っております。