合掌マスター…?

全宝連の心地良い興奮が冷めやらぬまま、私は通常の稽古の日々に戻りました。

昨日は松本稽古でした。

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仕舞の稽古でちょっと面白いことがありました。

「敦盛キリ」と「女郎花キリ」と「花筐クルイ」の仕舞を順番に稽古した時のことです。

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これらの仕舞には、ある共通した型がありました。

「合掌」です。

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現代日本人が普通に「合掌」する時は、両手のひらを合わせますが、能の型の「合掌」は少しやり方が異なります。

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①扇を握っている右手を開いて、指を完全に伸ばして揃えます。

②同時に扇をひっくり返して持ちます。(紙と竹の境目付近を親指の付け根で挟み、要の部分が中指の先付近にあたるようにします)

③左手も右手と同様に開きます。

④両手のひらが上を向くようにして持ち上げていき、小指と薬指が触れるように身体の正面で合わせます。

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…というのが大まかな手順なのですが、この中の②の「扇をひっくり返して持つ」という箇所で、3人の方々が全く同じように苦労されていたのです。

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私は稽古の時には「親指と人差し指で扇を固定して持ち、残りの3本の指を扇の内側に握り込み、その3本を伸ばしていくと扇がひっくり返ります」

と教えるようにしています。

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ところがそのやり方でやっているのに、何故か結果的に全然違う持ち方になっており、ご本人も私も思わず笑ってしまう、というのが3回続いた訳です。。

昨日はその後も皆さんで顔をつき合わせて扇を何度もひっくり返している姿を横目で見て、微笑ましく思いながら続きの稽古をしておりました。

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…しかし、実は「合掌」にはさらに難しい段階が存在するのです。

それは、

「能面をかけて合掌する」

というやり方です。

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能面をかけていると、合掌する時の自分の指先が全く見えません。

つまり目をつぶって合掌するのと同じです。

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すると不思議なことに、持ち上げた両手の指先が前後や上下にずれてしまい、なかなかぴったり合ってくれません。。

確実に両手が合うには、経験と集中力が必要なのです。

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…というわけで、上記①〜④の合掌が出来るようになった方は、今度は目を閉じての合掌に挑戦してみてください。

それが出来るようになれば、立派な「合掌マスター」と言えると思います。

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次回の松本稽古で「合掌マスター」にお会いするのを楽しみにしております。

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