紋付の修繕

2年ほど前に作った楽屋働き用の紋付が、早くも何ヶ所か糸が切れたりほつれたりしてきました。

装束付けに使う糸針の切れ端をもらって”ずっこけ”という方法で止めたりして、騙し騙し使ってきたのですが、いよいよ裂け目が目立ってきたので、今日まとめて自分で縫って修繕しました。

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紋付は絹糸で縫ってあります。

絹糸は生物由来の為に経年劣化するので、何年か経つと弱くなるものなのですが、楽屋働きで荒っぽく使う紋付は一際早く傷んでくるのです。

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私が直しに使うのは太めの絹糸です。

元々縫ってある糸と比べると、倍以上の太さに見えました。

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正絹の紋付を縫う際には化繊の糸を使わずに絹糸で、しかもあえて細めの糸で縫ってあると聞いたことがあります。

縫い目に過度の負荷がかかった時に、生地が破れる前に糸が切れるようにしてあるのだそうです。

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しかし能の楽屋働きで使う紋付の場合は、この定石を踏み外してでも太くて強い糸で仕上げてもらいたい気がします。

“ヘビーデューティ”というのはアウトドア用品などに使う言葉ですが、私は酷使に耐える”ヘビーデューティ”な紋付があっても良いと思います。

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更に注文出来るとしたら、

①襟の裏側に「糸針と鋏」を収納出来る小さな内ポケットをつける。

②袂の内側にもポケットをいくつかつけて、「手拭い」、「番組などの紙」、「小本」などの出し入れをしやすくする。

などの機能もお願いしたいです。

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いつか上のような頑丈で機能的な紋付を、着物屋さんと共同開発したい…などとチクチクと紋付を繕いながら考えたのでした。

買い手は非常に限られると思われますが…。

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