巡回公演のMC
今日は相模原の小学校にて「巡回公演」に出演して参りました。
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巡回公演への参加は6月の長野公演と小田原公演以来です。
小学校の体育館には、あの時と全く同じ舞台が綺麗に設営されていました。
演目は狂言「柿山伏」と能「黒塚」で、これも6月の時と同じです。
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しかし私にとっては、あの時とは大きく違う点がひとつありました。
私は今日の公演で、各演目の前後に舞台に出て解説などをする「MC」を仰せつかったのです。
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普段から小学校での能楽教室は頻繁にやっており、喋るのは慣れていると自分では思っていたのですが、今回ばかりは勝手が違いました。
あらかじめ用意された原稿に沿って、ほぼ決まった内容を話さなければならなかったのです。
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謡の暗記はやり方がわかっているのに、現代語の原稿を覚えようとしても何故か全く頭に入って来ません。
先週1週間は毎日MC原稿を眺めて、ため息ばかりついておりました。。
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そしていよいよ今日は本番です。
MCは原稿を見ながらでも良いとは言われていたのですが、私の場合はおそらく原稿を見るとかえって言葉に詰まりそうな気がします。
ここは思い切って、原稿は持たずに手ぶらで舞台に出ました。
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今日の子供達は1年生から6年生まで全校生徒の450人。
私はこういう時は、低学年に合わせて喋るようにしています。
とにかく易しい言葉で、「能舞台の揚幕の向こうは別の世界なのです。」とか、「狂言は面白かったら大きな声で笑ってください!その方が演者も嬉しいのです。」
と言った内容を話して、一度切戸に引きました。
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狂言「柿山伏」が始まると、冒頭から本当に大きな笑い声が起こって、なんだか大変な盛り上がりになってしまいました。
ちょっと効果があり過ぎかな…?
と思いながらも、私の言葉はどうやら子供達の心に伝わってくれているようで、少しホッとしました。
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それから御囃子方の実演の前後、また最後の能「黒塚」の前後にもMCに出て、何とか原稿の内容を大きく逸脱せずに喋ることが出来ました。
子供達が「黒塚」の間狂言でも大声で盛り上がりだしたので些か不安になりましたが、後場が始まるとちゃんと静まって”能”の鑑賞モードになってくれました。
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実は明日も朝から巡回公演があり、また別の小学校でMCをするのです。
今日1回終えているのでだいぶ気は楽ですが、より良い内容を話せるようにしたいと思います。
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…ちなみにMCだけではなく、一応能の地頭としても舞台に出て働きました。念のため…。