音だけで舞台を知ること

今日は水道橋の月並能にて、能「葵上 梓の出」のツレを無事に勤めさせていただきました。

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今回のツレは、舞台上ではずっと「ワキ座」に座っており、何度か僅かに向きを変えるだけの動きでした。

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それ以外の場面では、小面から見える狭い視野の外は当然視ることはできません。

すると、”聴覚”が普段よりも鋭くなって、”摺り足の音”や”装束が擦れる音”で舞台の様子が不思議な程に把握出来ました。

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能楽師をやっていると、五感うちの特に”視覚”と”触覚”を遮られることが割とよくあり、それは他の感覚を磨くのに良いのだと思います。

また今日の能「葵上」は、お囃子が演奏しない場面が意外に多く、その意味でも”聴覚”が研ぎ澄まされる能だったのかもしれません。

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皆様も試みに、お囃子の無い静かな場面で敢えて眼を閉じていただき、舞台上の音に集中すると、また違った能が感じられるのかもしれません。

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