熱海の”月の道 薪能”
今日は熱海の海岸で開催された「月の道 薪能」に出演して参りました。
毎年恒例となった薪能で、辰巳満次郎師が沖合から船で登場して、浜辺で舞うというのが大きな目玉になっています。
私は去年はその船に乗ってお手伝いをしましたが、今年は出航する桟橋でのサポートでした。
夜のヨットハーバーは、たくさんのヨットに灯りがともっていて幻想的な景色です。
ただ、水平線から昇っている筈の月は雲に隠れてしまっていました。
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シテ満次郎師を載せた船が出航していき、やがて浜辺の舞台での”能舞”が終わってヨットハーバーに戻って来ても、まだ月は顔を出してくれません。
今日は雨が降らなかっただけでも良かったのかな…と思いつつ、私は最後の演目である能「乱」の地謡座に座りました。
浜辺の客席に向けて座るので、月には背を向けるかたちになります。
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満次郎師は早変わりでシテ猩々になって、今度は橋掛りから登場です。
毎度のことながら、満次郎師の超人的な体力には圧倒されます。。
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そして「乱」が無事に終わって、舞台から降りるために背後を振り返った時、「おお…!」と驚きました。
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いつのまにか中天に見事な月が浮かんでいたのです。
「乱」の中の、「月星は隈も無し」という文句に誘われるように、顔を見せてくれたのでしょうか。
私は一瞬だけ明月を仰ぎ見てから、舞台を降りました。
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終了後の橋掛りから撮影した、熱海の夜景と月光の射すビーチ。実に美しい光景でした。
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今日の薪能が無事に終わったことを感謝しつつ、我々は月に見送られながらサンビーチを出発して、熱海駅までの長い階段をよいしょよいしょと登って帰途に着いたのでした。