祈りたくなるような日

曇天模様の上野を出発した東北新幹線が栃木県辺りまで北上すると、前線の雲は南へ飛び去ってその先に秋空が広がっていました。

今日は2ヶ月ぶりの仙台稽古でした。

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新幹線で、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロのことを考えていました。

あの日私は内弟子として宝生能楽堂におり、楽屋食堂のテレビで恐ろしい映像を皆と見ておりました。

「もしかしたら、ここから世界は戦争に向かってしまうのだろうか…」

と重苦しい想像ばかりが浮かんできた記憶があります。

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あれから17年が経ちましたが、テロとそれに対する報復という復讐の連鎖は、止まること無く続いているようです。

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そして仙台稽古場にいらした方からは、「今日で震災からちょうど7年半経ったのです」

と伺って、ハッとしました。

あの日からもう7年半。

そしてやはり地震や台風は、その後も私達の平穏な日常を脅かし続けています。

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それでも、仙台の市場を覗いてみると、今年も秋の味覚が顔を揃えていました。

薩摩芋、栗、あけび…

そして柿などなど…。

自然の力は、ちゃんと私達に恵みも与えてくれているのですね。

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今日の東北の街は、涼しくて穏やかで、市場は活気にあふれて、こんな日がずっと続けば良いと祈りたくなるような風景でした。

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「祈ることしか出来ないけれど、祈ることは出来るから、祈ります」という言葉が、最近胸に染みました。

「平和を祈る」というのはとても月並みな表現ですが、今日9月11日は、世の中の平和を祈りたいと思います。

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下の写真は、今日ある方から頂戴した、大地の瑞々しさが凝縮されて型になったような”パプリカ”です。

そのまま食べられるそうなので、これから仙台の宿でこの大地の恵みをいただきたいと思います。

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