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鬼くすべの鏡餅

唐突ですが、下の写真は何だと思いますか?

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題名で答えを言ってしまっておりますが、これは昨日、大山崎宝積寺の追儺式「鬼くすべ」で使われた「鏡餅」なのです。

お正月によく見る鏡餅とは、だいぶ形が違いますね。

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昨日も載せた鬼くすべの写真ですが、写真の上の端に、何やらたくさんぶら下がっている物体があります。

これが、「鏡餅」を竹に挟んで更に紐を付けたものなのです。

本堂の鴨居にぐるりと75個吊り下げられています。

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この特殊な「鏡餅」は、鬼が鏡に映った自らの姿を見て驚いた隙に祓ってしまおうという目的で使われるそうです。

75という数は、聖武天皇が龍神様の御告げを聞いてから75日目に即位したことに由来する数だとか。

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「鏡」という道具は能楽にも様々なシーンで登場します。

能「昭君」で後シテ韓耶将は、鏡に映る鬼のような自分の姿に恥じ入り消えていきます。このあたり、「鬼くすべの鏡餅」と似た構造が見られます。

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また能「野守」では、野守の鬼が「全てを映す鏡」を持って現れます。

この「野守の鏡」は、地獄の閻魔大王が持っている「浄玻璃の鏡」と似ています。

実は大山崎宝積寺には、素晴らしい「閻魔大王坐像」があるのですが、「閻魔大王の浄玻璃の鏡」と「鬼くすべの鏡餅」にも何か関連があるのかもしれません。

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そして昨日の鬼くすべ終了後に、その75個の鏡餅のひとつを私がいただいたのです。

これは大変に有り難いことです。

昨日の煙の香りも鏡餅にしっかり染み込んでいて、顔を寄せると鬼くすべを思い出すことが出来ます。

早速室内に吊り下げて、邪気から護っていただこうと思っております。

2件のコメント

  1. いつも楽しみにしている読者です。読んで幸せな気分に浸っております。
    昨日のお話の中で、佐野藤右衛門さんのお名が出てきて、思わずキャ〜‼︎と。
    憧れること十余年と、長いの短いのかわかりませんが、佐野藤右衛門さんといえば京都、京都といえば佐野藤右衛門さん。
    娘の勤め先の社長も桜のことで頭がいっぱいの幸福な方で、かつて佐野藤右衛門さんにインタビューしたことがあるそうです。
    羨望の眼差し、、、
    先生のお写真は毎回とても美しくて、藤の花も綺麗。白い藤ですね。
    亀岡のカタクリの花もそれは可憐な姿を写真で見せて下さって、楽しうございました。
    またあちこちの花便りをお届けくださるのを心待ちにしております。

    1. 江渕様 いつもありがとうございます。昨年4月3日の「桜守」というブログにも佐野藤右衛門さんの事を少し書いております。
      今後も頑張って更新して参ります。よろしくお願いいたします。

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