能「雲林院」を巡る謎
先日、能「雲林院」関して読者の方からいただいたコメントで、「雲林院のサシクセは源氏物語のエピソードを土台にしていると聞きます。ということはここは光源氏の気持で舞うのでしょうか?」というのがありました。
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能「雲林院」に関して勉強する中で、このコメントについても色々調べているのですが、実は調べる程に謎は深まるばかりなのです。
何が謎なのかと言いますと、
「在原業平」、「光源氏」、「伊勢物語」、「源氏物語」という4つのキーワードの関係性です。
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①「在原業平」は「光源氏」のモデルの一人である。
②「伊勢物語」は「源氏物語」に大きく影響を与えている。
という説を先ず読みました。
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そうすると、
◎「在原業平の気持ち」と「光源氏の気持ち」というのは、前者が後者のモデルの一人である以上、重なる部分が大きい。
そして、
◎伊勢物語を題材にして作られた能「雲林院」の中に、源氏物語から借用された部分があるが、その源氏物語はそもそも伊勢物語の影響を受けている。
と考えることが出来て、「雲林院」のサシクセの部分だけ大きく気持ちを変化させる必要は無いように思われます。
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しかし更に調べると実は「伊勢物語」の主役が「在原業平」であるとは、伊勢物語の作中では一言も述べられていないそうです。
そうなると①の説が揺らいで来る気がします。
つまり、「光源氏」のモデルの一人になったのは果たして「在原業平」なのか、それとも「伊勢物語の主人公」という業平とは微妙に異なる人格なのか、という謎が浮上して来るのです。
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そもそも「伊勢物語」は成立も作者も、また何故「伊勢物語」という題名なのかも明確にはわかっていない謎なのだそうです。
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何となく、「源氏物語」はフィクションで、「伊勢物語」の方はある程度事実に基づいたものであると思っていたのですが、何が現実で何が虚構なのかわからなくなって来ました。。
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現状ではこのように、謎が謎を呼んで絡んだ糸を解こうとして余計にこんがらがるような有様なのです。
本番までにはまだ時間があるので、引き続き色々資料を当たってみたいと思います。
皆様のコメントもお待ちしております。