鰻と能楽

昨日の松本稽古の後、何人かで晩御飯を食べたのですが、その席で新会員の鰻屋さんからまた面白いお話を聞きました。

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同じ鰻でも、焼いていると時折「これはすごく良い鰻だなあ」と思うような素晴らしい鰻に出会うことがある。

また逆に「うーん、この鰻はちょっと…」という鰻に当たってしまうこともあるとか。

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しかしそこは勿論お客様には明かさずに、同じようにお出ししなければならないのが難しいところだと仰っておられました。

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能楽の世界でも、例えば舞台ごとに毎回違う面や装束の組み合わせがあり、「これは良い面が出たなあ」とか、「この新しい装束は初めて使うらしい」とか、お客様には明かされない裏情報があります。

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面白いと思うのは、良い面と装束が出ても確実に良い舞台に繋がるとは限らず、逆にそこまで良品の組み合わせでは無くても、舞台としては良い評価を受けることもあるということです。

面装束というのは舞台を構成する要素の一つに過ぎず、他の様々な要素との総合で満足度が決まるのでしょう。

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会員さん経営の鰻屋さんは、ご飯をお客様が来店してから炊くので、炊きたてのご飯がまた大変に美味しいと言う話です。

タレは修行したお店のレシピを元に、地元の材料などを使ってオリジナルのものを作ったそうです。

また気温によって火の通り具合が変わるので、焼き加減を微調整しなければならないということでした。

そのように、「鰻」と一口に言っても、素材、焼き方、タレの味、ご飯の味などが合わさって、やはり総合力で評価が決まるのだと思います。

どの世界も奥が深いのだと思いました。

そして鰻が食べたくなりました。。

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