大神神社にて
能楽師と周るバスツアーは、多武峰を発って今度は「大神神社(おおみわじんじゃ)」へと向かいました。
「大神」と書いて「おおみわ」と読む読み方は、古代に定められた読み方が現代まで伝わっているということで、ここは日本で最も古い神社のひとつなのです。
私にとっては今回のツアーで唯一、これまで何度も訪れたことのある地でした。
実は大神神社参道のすぐ横にある三輪素麺の有名店「森正」の店主森さんが、澤風会の会員なのです。
お店があまりに忙しく、お稽古は仕舞「三輪キリ」の途中でちょっとお休み中なのですが。。
その御縁で、数年前に澤風会の一行で大神神社を案内していただいたことがありました。
鳥居の起源を想像させる神秘的な結界「三ツ鳥居」を拝見させていただき、また御神体である三輪山に登拝させていただいたりしました。
その後も京大宝生会の葛城能合宿の時に訪れたり、初詣をしたりと何度もお参りさせていただいております。
それらの訪問の時、普段はそんなことを全く感じない私でも、「人知を超えた存在に見守られている」という不思議な感覚を味わう出来事が何度かありました。
そして今回久々に訪れた大神神社。
夕方の公演がある為にあまりゆっくりした時間がとれませんでしたが、参拝だけはしっかりしようと参道の階段を登りました。
土曜日で参拝客は多かったのですが、巨木の立ち並ぶ参道から、一転して明るい陽の降り注ぐ拝殿にかけて満ちている荘厳な空気感には、やはり圧倒されました。
能「三輪」で玄賓僧都の衣が掛けられていた「衣掛の杉」を見て、参拝を済ませて参道を降りていくと…
「澤田先生!」
なんと鳥居の脇に「森正」店主の森さんがわざわざ出てきてくださいました!
「夕方の公演、時間がとれたら観に行きますね。」
「ありがとうございます。紫明荘にもまたいつでもお稽古いらしてください!」
「そうですね💦アハハ…。」
森さんの変わらない笑顔に見送られて、バスツアーはいよいよ最終目的地、桜井市民会館へと出発。
大神神社参道横にはなんと新しく能楽堂が建てられるとのことで、その工事が始まっていました。
大神神社と能楽が、今後益々強い御縁で結ばれていくと良いと思います。
桜井市民会館での公演の模様はまた次回にさせていただきます。