トマトとクワガタ
「松本はアルプスで守られているので、台風の被害はあまり無い」という話を以前に聞いたことがあります。
今朝松本の宿で起きて、「台風直撃の大嵐かも…」と恐る恐る窓外を見るとなんと雨は止んでおり、台風は本当にアルプスを越えられずに北陸方面に曲がっていったようなのです。
特急も平常運転で、何とか無事に東京に帰って、江古田稽古をすることが出来ました。
昨夜は松本稽古の後に、お弟子さん達と食事をせずに、雨を避けてすぐに宿に入りました。
そして荷物を置いてから宿の近辺で晩御飯のお店を探した所、韓国料理屋が一軒ありました。
5年前に仕事で何度か韓国に行って以来、韓国料理はしばしば無性に食べたくなります。
のぞいて見ると、やはり台風のせいか客の姿はひとりも見えません。無理かな…と思いつつ扉を開けて、「あのー、ひとりでも大丈夫ですか?」と尋ねると、手持ち無沙汰に座っていたオモニが「大丈夫!」と言ってくれました。
広い店内を貸し切りで、プルコギなど料理も美味しく、ビールも良く冷えており、非常に幸せな気分に浸っていると、オモニが「トマト食べる?」と聞いてきました。
もちろん「いただきます!」
みずみずしいトマトが丸ごと一個、輪切りになってきました。夏に食べるトマトは美味しさも一入です。
オモニ「私は山の方に住んでいて、トマト作ってるのよ。まだあるよ。」
更に、「お兄さん、出張?クワガタ要らない?」と意味不明なことを言われました。
見るとカウンターの上の虫籠の中に、良い型のノコギリクワガタがいます。
オモニ「家の裏山で木を蹴っ飛ばすと、こんなのが沢山落ちてくるのよ。出張の人には、子供にお土産と言ってあげているの!」
…私はトマトだけ有り難くいただいて、クワガタは遠慮しておきました。。
今回は台風に悩まされた週明けでしたが、そのおかげで美味しい韓国料理屋さんに出会えました。
山に囲まれた松本の、山の恵みを体感した二日間でした。