半蔀の作り物
本日も水道橋にて能「半蔀」の稽古を受けて参りました。
半蔀の能には「作り物」が出ます。
能に使う「作り物」は、基本的には竹を包地(晒を細く裂いたもの)で巻いただけのシンプルな構造です。
そこに布をかけたり屋根を載せたり、植物を飾ったりして変化をつけます。
中には芸術作品や工芸品のように手の込んだ精緻な作り物もあります。
「道成寺の鐘」、熊野などに使う「花見車」、「鉢木」などがその代表格と思います。
そして「半蔀」の作り物もまた、シンプルながらとても美しいものです。
四隅の柱と蔀戸には夕顔の緑の蔓が伝い、金銀色の瓢箪と白い花が、派手にならないように気を配って散りばめられています。
能の場合、作り物は舞台の度に一回一回作り直すので、毎回微妙に違う作り物になります。
作り手のセンスが問われる所もあるので、私も内弟子の頃には半蔀の作り物には気を遣ったものです。
蔀戸に巻く蔓がシテの顔を隠さないように、また吊るした瓢箪がシテの頭に当たらないように、それでいてバランス良く美しく見えるように…。
手前味噌ですが、鍛え上げられてチームワークも良い宝生流の内弟子達が作る作り物は、どれもきちんと丁寧に作られているので、鑑賞に堪える「作品」と言えると思います。
7月15日の五雲会では、「半蔀」以外にも能「氷室」、能「土蜘」にも作り物が出ます。
内弟子の腕の見せ所です。是非作り物にも注目して、舞台を御覧くださいませ。
宝生流五雲会:7月15日(土)正午始 於宝生能楽堂
能「氷室」シテ藤井雅之
能「経政」シテ亀井雄二
能「半蔀」シテ澤田宏司
能「土蜘」シテ高橋憲正 頼光当山淳司 ほか