盲亀の浮木

「盲亀の浮木」という言葉があります。

これは「100年に一度だけ海面に姿を現わす盲目の老亀が、偶々浮かんでいた流木に空いていた穴に首を突っ込むような、起こる確率が非常に低い事象」というような意味の故事です。

この確率を計算してみた奇特な人がいるらしく、114京9286兆4919億5633万3945年に一度位に起こるそうです。今の宇宙があるうちには全然無理そうですね。。

この言葉は能にも度々出て来ますが、例えば能「蝉丸」の冒頭、蝉丸を逢坂山に捨てに行くワキの道行の中に出て来る「盲亀の浮木」は、その後の蝉丸と逆髪の偶然の邂逅を暗示しているのでしょうか。

私も過去には、北海道の羅臼岳山頂で偶然予備校の友人に再会したり、憧れていたカヌーイストの野田知佑さんにアラスカで偶然出会ったりというような嬉しいことがありました。

しかし元々は有り難い仏教説話に基づいた「盲亀の浮木」なのですが、「あまり有り難く無い盲亀の浮木」というのも存在するのです。

一昨日は、仕事で行った青森で平日にもかかわらず宿が全然取れず、また昨日朝の帰りの東北新幹線も席が立席しか取れなくて、新青森から上野までデッキの床に何とか座って帰って参りました。

人に聞いたら、一昨日は「29年ぶりに青森県でプロ野球の試合が行われた」そうなのです。

「29年ぶりにプロ野球の試合が行われる日に、月に一度だけの仕事で偶然行ってしまう確率」はどのくらいなのでしょうか…。

今回はあまり有り難く無い盲亀の浮木でしたが、また嬉しい偶然もきっとあると思いつつ、これからもいろんな場所に行ってみたいと思います。

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