旧BOXの冬稽古
京大ではサークル活動の部室を昔から「BOX(ボックス)」と呼びます。
能楽部のBOXは一昨年までは京大体育館の裏手にありました。
立派な舞台がありましたが、エアコンは無く、冬は古い石油ストーブで暖を取っていました。
ところが私が現役の頃の京大宝生会の稽古では、「窓を閉め切って稽古すると、声が実際より大きく聞こえてしまって良くない」という理由で一年中BOXの窓を全開にして稽古する慣わしでした。
地謡座の真後ろは北向きの大きな窓だったので、冬は容赦無く北風が吹き込んで来ました。
石油ストーブは稽古中は殆ど役に立たずで、しかも大学支給の灯油が切れる時もありました。
この週末のような寒波では、BOXは本当に歯の根が合わない寒さでしたが、「謡って舞えば暖まる!」とガンガン稽古していました。
今のBOXは最新のBOX棟の地下に入り、前より更に立派な舞台とエアコンも完備なので、冬でも暖かく稽古出来るようになりました。地下なので当然窓は閉めて稽古しています。
今のBOXしか知らない世代も声は大きいので、旧BOXの窓全開稽古の意味は果たしてあったのか…?とも思ってしまいます。
しかしあれはあれで、鍛錬としては良い経験だった気がします。
懐かしい冬の思い出です。
思い出します。炬燵が唯一のオアシスで、外気との温度差が露天風呂のようで心地良かったのですが、稽古では当然炬燵から出てきっちり座っておかねばならないので、やはり謡と舞で自らを温めるのが一番でした。
今から思うと、修羅物や切能などの荒い仕舞が伝統的に多かったのは、これが一因かもしれません。声量は…少しは効果があったと信じたいところです。
今のBOXは快適ですが、雪を見ながら冬の曲を謡う、といった風流なことが出来ないのはやや寂しいですね。
コメントありがとうございます。
確かに旧BOXでは、四季折々の気温を感じながらその季節の曲を謡っていましたね。
風流でした。
今の現役は、まあ鴨川河原か、大文字山の上で謡えば良いですかね。澤田