兼平稽古

今日は来月4日に七宝会でシテを勤める能兼平の稽古を受けて来ました。

今井四郎兼平は木曽義仲配下の四天王と呼ばれた一人で、能のストーリーも義仲最期のシーンが最も重要な位置付けになっています。

同じく義仲の最期を描いた巴という能がありますが、興味深い事があります。

能兼平の中に「巴」という名前は一度も出て来ず、また能巴にも「兼平」は全く登場しません。

そしてどちらの能のシテも、義仲に最後まで付き従ったのは自分であると語っているのです。

主君への敬愛の念は自分が一番強いという事を、幽霊となってまで互いに譲らず主張している巴と兼平。

どちらも義仲への想いの強さをひしひしと感じます。

しかし今回気が付いた事があります。

巴は曲の最後に、自らの執心を弔って欲しいと言って消えて行きます。ところが兼平は最後まで自分の心中には全く触れず、先ずは主君義仲の弔いをして欲しいとワキに頼んでいるのです。

兼平には、修羅道の苦しみや妄執を超えたレベルでの主君への想いがあるのかもしれません。

修羅としては異色の存在と言える兼平。その心持ちに少しでも近付けるよう、本番まで試行錯誤しながら稽古していきたいと思います。

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