3匹のアサギマダラ達

今日は亀岡稽古でした。

毎年この時期になると、亀岡稽古場にあるフジバカマの群落には、旅をする蝶「アサギマダラ」がたくさん飛んで来るのです。

ちなみに去年は10月4日と11日のブログでこの蝶のことを紹介しました。

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幸いに今日は穏やかな天気だったので、きっと会えるだろうと楽しみにしながら亀岡に向かいました。

そして去年と同じ場所のフジバカマを見に行ってみると…

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やはりいました!

フジバカマの蜜を吸うアサギマダラです。

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去年は3匹のアサギマダラが舞っていたとブログにありました。

不思議なことですが、今日も3匹が花に戯れています。

アサギマダラは渡りをした先で生涯を終えるので、去年と同じ個体の筈はありません。

しかし何となく「また会えたな…」と1年ぶりに友人と再会したような気持ちになりました。

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少しの間写真を撮っていると、この3匹の個体に何となく”個性”がある気がしてきました。

先ず1匹目…

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羽根の模様がくっきりした1番大きなこの個体は、近寄っても逃げないのに、カメラを構えると途端にフワリと飛び立ってしまいます。

なにか振る舞いに余裕が感じられて、”ボス”のようだと思いました。

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次の2匹目は…

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ちょっと色が薄めで、1匹目よりも小ぶりな個体です。

この個体は近寄っても写真を撮っても逃げずに、じっと花に止まっていました。

静かな性格なのか、もしかして元気がないのかも…と、心配になってしまいました。

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そして最後の3匹目は…

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ほんの少しでも近付く気配を見せるとすぐに飛び立って逃げてしまう、実に用心深い個体でした。

遠くからしか見られず、かろうじて撮れた写真もピンぼけです。。

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一度だけこれらの3匹が一斉に飛び立って、私の周りをヒラヒラと飛び交った時がありました。

ぶつかりそうな程近くで乱舞するアサギマダラに、思わず「うおお…」と感嘆の声が出てしまいました。

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彼らとは一期一会で、もう二度と会うことはありません。

しかしまた来年の今頃には、亀岡稽古場で彼らと似たアサギマダラ達にきっと会えるのだろうと思います。

もしかしたらそれは”ボス”と”静か”と”臆病者”という性格の3匹かもしれません。

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なんとなく”輪廻”という単語が頭に浮かんできたのでした。

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今日出会った3匹の、南への旅の無事を祈りつつ。

断水…?

一昨日の晩のこと。

大山崎ウォーキングと京大宝生会稽古の後、夜の最終新幹線で東京に戻りました。

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そして午前0時半頃にようやく三ノ輪の自宅に到着して郵便受けを見ると、郵便物に混じって「断水のお知らせ」というチラシが入っています。

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しかしとにかく疲れていたので、荷物を置いて先ずはシャワーを浴びました。

そして改めて郵便物と共にさっきのチラシを見ると…

「10月10日23時〜10月13日の朝5時まで断水します」

とあります。

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え〜っ!と驚きました。

水曜の夜から、土曜の朝まで全く水が出ないということでしょうか。

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今週は澤風会明けなので、東京中心のゆったりした予定にしてありました。

疲れを取りつつ、10月14日の月並能での能「葵上」ツレの稽古をしたり、10月21日の松本澤風会に向けた準備をしたりするつもりだったのです。

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しかし水が出ないとなると状況は一変します。

浴槽に水を溜めて、ペットボトルの水をたくさん買って、トイレの流し方は…動画で調べれば出てくるかな…

などなど、断水対策を考えるだけで時間が過ぎていきます。。

とりあえず今日は寝て、明日また考えようと思い、26時頃に就寝。

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そして翌日、念のためと思いチラシに載っている水道局の連絡先に電話してみました。

「断水のお知らせを見た、荒川区東日暮里の者ですが…」と名乗ると、担当者が

「ああ!申し訳ございません。あのチラシの記載に不備がありまして、断水は”10月10日〜10月13日の、各日23時〜翌朝5時まで”なのです!」

なんと!

私「では、朝5時から夜23時までは…」

担当者「問題無く水道を使っていただけます!」

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という訳で、また事態は一変してホッといたしました。

しかし、今夏の台風や地震では、多くの地域で停電や断水が長く続きました。

今回の件をきっかけに、断水や停電の対策を考えておかねばならないと痛感したのでした。

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そして、今日これからある田町稽古の後は、出来る限り早く帰って23時までには布団に入っていようと思います。

“秋”のつく食べ物

昨日は大江能楽堂をお借りしての稽古の後に、夜は芦屋で稽古いたしました。

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21時頃に終えて京都の宿に戻るともう22時半を過ぎていました。

まさに空腹のピークです。

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烏丸錦西入ルの目当てのお店に急ぎました。

ビールと枝豆を頼んで、改めてゆっくりメニューを見ると秋の食べ物が沢山並んでいます。

とりあえず”秋刀魚の炙り”と”秋茄子の揚げ出し”を注文。

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秋刀魚が驚きの美味しさで、至福の時間を過ごしました。

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その季節の名前がついた食べ物を食べると、何か季節そのものを味わったような幸せな気持ちになります。

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充分に秋の栄養をいただいて、今日はまた昼間に澤風会の能「小袖曽我」と舞囃子「玉葛」などの仕上げの稽古をいたしました。

そして夜には香里能楽堂にて、明日開催の「七宝会」の申合があり、能「舎利」の地謡を頑張って参りました。

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今は全部無事に終わって帰りの京阪電車です。

またもや腹ペコなので、今日もどこかで秋の食べ物を味わいたいと思っております。

文化祭の出し物は…?

今日は8月末以来久しぶりの江古田稽古でした。

「9月も下旬になれば涼しくなっている筈なので、稽古日を後半に固めましょう」という目論みで今日と来週にしたのですが、思惑通りすっかり秋めいてきて、帰りはむしろ肌寒いくらいでした。

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今日も終盤に高校生が何人かやってきました。

そのうちの1人が「明後日から文化祭なのです!」

というので、何の気なしに「へえ、クラスで何をやるの?」

と聞いたところ、

「カジノです!」

と返って来てひっくり返りそうになりました。

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「カジノ!?どんなギャンブルをするの?」

と聞くと、ルーレットやトランプだということでした。

ルーレットは市販のものですが、台は生徒達の手作りだそうです。そしてゲームに勝つと、生徒が持ち寄った景品がもらえるとか。

成る程、そのくらいならば、学校の許可も出そうですね。

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高校の文化祭の出し物というのは、学校や時代によって千差万別なのです。

ちなみに私のいた頃の都立富士高校では「演劇」が8割を占めていました。

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先日の京大宝生会では、吹田東高校宝生会のOGの部員が「明日は高校の文化祭の仕舞の発表を手伝ってきます!」と言っていました。文化祭で仕舞を出す高校生もいるのです。

また別の宝生会部員は、「高校の文化祭ではお化け屋敷のお化けをやって、本気で怖がられました!」お化け屋敷は王道ですかね。

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そして今日最後にやって来た高校2年生に、若干の期待を込めて「文化祭では何を出すの?」と質問してみました。やはり何かとんでもない出し物かもしれません。すると…

「綿菓子屋さんです!」

…意外と普通なのでした。。

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文化祭で面白い出し物をした経験のある方、よろしければコメント欄で教えてくださいませ。

皓月会に出演して参りました

今朝は夜明けと共に羽田空港を飛び立ち、福岡に向かいました。

大濠能楽堂にて開催の「皓月会」に出演するためです。

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飛行機に乗ったらすぐさま福岡まで寝ようと思っていたのですが、窓際の席だったので、ついつい外を見てしまいます。

離陸後すぐに眼下に”富士の高嶺”が…!


これは正に能「羽衣」のシテ、月世界の天人の目線です。

この絶景にテンションが微妙に上がってしまい、結局一睡も出来ずに無事福岡空港に着陸。

目をこすりながら地下鉄で大濠能楽堂に直行しました。

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能楽堂到着時刻が朝9時過ぎ。日本は意外に狭いです。

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今日は先週のブログでも書いた能「芦刈」が出ることになっていました。

楽屋に向かうとこんな張り紙が…


会主のユーモア心、感服いたしました。

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今回の皓月会は会主の石黒実都師が取り仕切っておられましたが、何番かの仕舞などの地謡に出させていただいた時、謡いながら故石黒孝先生の事を無性に思い出しました。

古くからの皓月会の会員さんの型や謡に、孝先生の面影が宿っていたのでしょう。

しみじみとした気持ちになりました。

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素晴らしい舞台だった能「芦刈」をはじめ、盛り沢山の舞台が盛会のうちに終わったのが17時半前。

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その後能楽堂から移動して、会員さんのなさっている「光寿司」という大変美味しいお寿司屋さんで晩御飯をいただき、福岡空港へ移動して到着したのが21時。

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そして帰りの飛行機で今度こそは寝ようと思っていたのですが、また席は窓際なのです。。

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夜景好きな私のテンションはまた微妙に上がっており、23時到着予定の羽田空港まで結局眠らずに行ってしまうのだろうな…と思っております。

福岡空港は連休を満喫した人々で混み合っておりましたが、私は日帰りでも大変に充実した濃い皓月会の1日を過ごさせていただきました。

石黒実都師はじめ皓月会関係者の皆様、誠にありがとうございました。

(機内モードにて執筆したブログでした)

“高砂尽くし”の披露宴

昨日は五雲会の後に、恵比寿のウェスティンホテルにて大鼓方の大倉栄太郎さんの結婚披露宴に出席して参りました。

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大倉栄太郎さんは東京芸大時代の同級生で、当時能楽専攻の仲間たちと栄太郎さんの鎌倉の自宅に泊まりがけで遊びに行ったりしたのが懐かしい思い出です。

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我々能楽師の結婚披露宴では、乾杯の前に「高砂」の祝言小謡「四海波」を謡うのが慣例になっております。

昨日も宝生和英御宗家の御発声のもと、出席した能楽師が全員立ち上がって「四海波」を謡いました。

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昨日はシテ方と三役のたくさんの流儀が勢揃いした披露宴でしたが、実は「四海波」の詞章や節は流儀によって異なるのです。

私も初めて能楽師の披露宴に出席した時は、違う節が聞こえてきて戸惑いました。

しかし今ではそれにも慣れており、昨日も宝生流の「四海波」を大声で謡いました。

ところが最後の部分の「君の恵みぞ有り難き」を「君の恵みぞ有り難や」と謡う流儀があるので、そこは「き」と「や」がせめぎ合って微妙な謡になって終わりました。

聴いていた一般の方は違和感を感じられたかもしれませんが、決して誰も間違えてはいないのです。。

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そして、開宴後しばし経った頃、ふと気がつくと新郎新婦が座る”高砂”の横にあるステージに、いつのまにか数人の能楽師が座っていました。

シテ方、笛方、小鼓方、太鼓方…

あれ?1人足りません。するとおもむろに高砂席の新郎栄太郎さんが立ち上がりました。

なんと手には大鼓を持っています!

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栄太郎さんが座につくと、シテ方の金春流山井綱雄さんが謡い始めました。

「高砂や この浦船に 帆をあげて…」

おお、今日は”高砂尽くし”なのですね!

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そしてまた面白いことがありました。

結婚式で「高砂」を謡う場合、文句を一部変える習わしがあります。

「出汐」を「入汐」としたり、「遠く」を「近く」と謡ったり。

これを謡文句を「かざす」と言ったりするそうです。

昨日の山井さんもこの「かざし謡」で待謡を謡われており、「遠く鳴尾の沖過ぎて」が「春に鳴尾の沖過ぎて」となっていたり、聞きながら思わずニヤリとしてしまいました。

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新郎熱演の「高砂」居囃子も無事に終わり、やがて和やかな披露宴は終盤に差し掛かりました。

最後は新郎栄太郎さんの挨拶です。ところが…

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栄太郎さん「え〜、どうしよう何を言うのかすっかり忘れてしまいました…。あんなに練習したのに!!」

おいおい。

昔からこういうキャラで愛すべき人なのですが、ここは何とか頑張ってほしいところです。

すると…

「そうだ!思い出しました。先ほどの皆様の”四海波”の謡!」

え?

「これまでの披露宴では謡う方だったので、今日初めて高砂席から聴かせていただきましたが、”おめでとう!”というすごいエネルギーが伝わって来て、めちゃくちゃ感動しました!!」

能楽師一同大ウケです。会場全体も温かい空気に包まれました。

栄太郎さんその後なんとか挨拶をまとめて、披露宴は目出度くお開きになりました。

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高砂で始まり、高砂で締めた感じのとても良い披露宴でした。

栄太郎さん、どうか末永くお幸せに!

四つ葉タクシー!

今日は午前中から夕方までノンストップで紫明荘組稽古、そこから間髪いれずに京大に移動して、21時過ぎまでみっちり稽古しました。

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その時間まで稽古すると、京都駅まではバス移動だと最終の新幹線に間に合いません。

贅沢だとは思いながら、京大BOX棟の前からタクシーに乗ることになります。

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今日の京都は雨模様だったのでタクシーの需要が大きいのか、なかなか空車が通りません。。

一緒に待ってくれている現役に、「雨だからもういいよ」と声をかけて、1人で待とうと思っていると、ようやく遠くに空車のタクシーが見えました。

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すかさず手を挙げて止まってもらうと、クローバーマークの”ヤサカタクシー”でした。

そして私は瞬時に気づきました。

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「おお!四つ葉タクシーだ!!」


ヤサカの四つ葉タクシー!

普通は三つ葉のクローバーマークが”四つ葉のクローバー”になっている車です。

半ば都市伝説的に噂を聞いていましたが、京都に来てから数十年、一度たりとも姿を見かけたこともありませんでした。

それが遂に私の目の前に…!

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大喜びで乗り込んで、「四つ葉ですね!初めて見ました!!」と興奮気味に話しかけると、「夜道で、乗車される前に気がつく方は珍しいですね。」と笑いながら運転手さん。

そして、「これは記念にどうぞ」と何やら差し出してくれました。


見ると、乗車記念カードでした。

なんと、1300台のうち4台しか無いと書いてあります。

ましてや他の会社のタクシーも入れると、出会えたのは全く奇跡的なことです。

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せっかくなので、運転手さんに色々聞いてみました。

私「四つ葉以外にも、レアなタクシーがあった気がするのですが…」

運転手さん「はい、上賀茂神社さんとのコラボ企画で”ふたばタクシー”があります。それは2台だけです。あとは、バレンタイン期間限定で女性ドライバーの車がピンク色のクローバーになります!」

おお、ヤサカタクシー色々頑張っているのですね!

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私「四つ葉タクシーのドライバーはどうやって選ばれるのですか?」

運転手さん「様々な規定に照らして、会社から任命されるのです。」

その時は、後ろ姿なのに運転手さんがちょっとだけ胸を張ったような気がしました。

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話しながら気がつくと、京都駅に向かう道順がいつもと少し違うことに気づきました。

車は東大路をひたすら南下して、やがて七条も越えた先の細い路地を右折しました。

私「珍しい道を行くのですね…」

すると、

運転手さん「この道をずっと行くと、”京都タワー”が真正面に見えて来るのです。お客様のようにこれから京都を発って行かれる方に、思い出でも無いのですが最後に京都タワーを見ていただきたくて、この道を通るようにしております。」

なんと、たしかに道の向こうには、京都タワーが”ドーン”と屹立していました。

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今日も朝から晩までノンストップ稽古で少々ハードな1日だったのですが、最後に”四つ葉タクシー”に出会えて非常にハッピーな気分になりました。

そして、「乗る人皆が幸せな気持ちになる車」を運転出来るあの運転手さんが、ちょっとだけ羨ましいと思ったのでした。

簡略化か伝統保全か。

先週の盛岡でのセミナーの時のお話です。

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盛岡の伝統的な踊り”さんさ踊り”が最近盛岡の大学生に流行っていて、大勢が熱を入れて踊っているという話が出ました。

それは大変良いことだと思ったら、その”さんさ踊り”は簡略化されたもので、本当に伝統的で複雑な”さんさ踊り”を踊れる人は逆に少なくなったというのです。

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すると今度は”大償神楽”を継承されている方が、「大償神楽は難しいところもあるが、簡略化することなく子供達に伝えていきたい。その難しい部分にこそ面白みがあるのです」と仰いました。

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私は大償神楽の方に、「神楽の演目には子供向けのものは無いのですか?」と聞いてみました。

すると、「いえ、一切ありません。いわゆる”子役”も無く、子供も大人も全く同じ神楽を稽古します」とのことでした。

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簡略化されて人口が増えた踊りと、後継者不足に苦しみながらも、頑固に形を変えずにその本質的な面白さを伝えていこうとする神楽。

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どちらが正解かを、簡単に決めつけることは出来ないと思います。

私自身は、大償神楽の考え方にとても共感を覚えますが、それだけでは今後続けていくのが難しい気もするのです。

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この”さんさ踊り”と”大償神楽”の命題は、今後長い時間をかけて考えて行きたいと思います。

盛岡でのセミナー

今日は「岩手未来機構」の皆さんに招かれて、盛岡でとあるセミナーに参加しました。

「岩手県の伝統文化芸術活動の担い手が、今後より良い活動をしていくにはどうしたら良いか」というテーマのセミナーでした。

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ユネスコ無形文化遺産にもなっている”大償神楽”の伝承者の方や、茶道、華道など、様々な分野の人達が集まりました。

私は能楽師の立場から、子供向けのワークショップや能楽教室の話、また大学での能楽部の話などをさせていただきました。

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大償神楽の方は、「昔は地域ごとのまとまりが今より強く、神楽の後継者育成もやりやすかった。

顔見知りの子供達の中から、この子はいけると思う子供に声掛けして、神楽に参加してもらっていた。

しかし複数の地域の学校が統合されてしまい、昔からのやり方で子供達に神楽を教えるのが難しくなった」と仰いました。

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また、「学校や幼稚園の先生のカリキュラムが忙し過ぎて、伝統芸能の体験まで手が回らない」

「担い手が高齢化して、助成金などの申請手続が困難である」

など、厳しい現状を憂う意見が相次ぎました。

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私は子供達や大学生と言った将来を担う後継者に能楽を伝える為ならば、報酬は無くても構わないと、極端な話私自身が経済的負担を負っても良いと考えていました。

しかしその考えに対しても、「そのやり方では、あなたは一代では可能でも誰かに代替わりした後が続かなくなる。やはり担い手への金銭面の保証は不可欠である」

というお言葉をいただき、確かにその通りだと思いました。

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今回は私の能楽師としての事例をお話しする為に呼ばれたのですが、結果的に私の方が色々勉強させていただきました。

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岩手未来機構では、今回の趣旨のセミナーを今夏5回にわたって県内各地で開催して、其々の地域の文化芸術活動の担い手の声を集計して、県への働きかけなどをしていくということです。

これは大変に労力が必要で、また非常に意義深い活動だと思います。

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日本中の伝統文化活動において、おそらく同様の問題が同時進行で起こっていると思われます。

この岩手未来機構のような積極的な活動が全国的に行われて、それが県を超えて連携していければ、日本の伝統文化の維持と発展に大きな力になるだろうと思いました。

桃太郎の猪…?

今日は緩めのお話です。

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初めて一人で泊まる街での晩御飯は、ちょっと緊張します。

今週岡山で初めて1泊した時のこと。

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その名も「桃太郎大通り」という駅前の目抜き通りを歩いていると、またまたその名も「ももたろうの屋台」というお店を見つけました。

お店の前の看板によれば、何とビール5種類が付いた飲み放題が1200円。ビール大好きな私には夢のようなお店です。

名前も良いし、ここにしよう!と決めて早速中に入りました。

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私「すみません、1人なんですが…」

するとカウンター内にいたお兄さんが「じゃあそちらに。」とカウンター席を指し示してくれました。

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私は左利きなので、無意識のうちにカウンターの左端を選んで座ることが多く、この時も左端の椅子を引きかけました。すると…

「いやいや、そちらにお願いします!」

とお兄さんがやや強めの調子でさっきの席を再び指し示します。

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ああ、すみません…と思いながら、ほとんど空いているカウンター席の中ほどに座りました。

「これはもしや、頑固な店員さんのいるちょっと怖いお店かも…」

と早くも若干気弱になった私ですが、心を奮い立たせて注文をしていきます。

「えー、ハートランド生ビールと、チーズのサラダ、鶏肉とナッツのピリ辛炒めをお願いします…」

ビールも、地元の食材を使ったお料理も美味しいのですが、何となくあの店員さんとの間に緊張感が漂っている感じです。。

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実は先程から私は、気になっているメニューがありました。

「猪のフランベ」という品で、小さな字で”獲れたてを自社処理なので新鮮!お薦めです‼︎”と書いてあります。

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「岡山の猪」に関しては以前から、何とか一度食べたいものだと思っていました。

「山賊ダイアリー」という漫画で、岡山在住の猟師が猪を獲って自分で食べるシーンが実に美味しそうだったのです。

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頑固そうな店員さんに恐る恐る、「あのー、この”猪のフランベ”いただけますか…?」と声をかけると…

「ああ猪!昨日獲れたてが入っているから、美味しいですよ!」

なんと、固かった表情がいきなり満面の笑顔になりました。

猪、相当自慢の品のようです。

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そしてやがて出てきた”猪のフランベ”を食べて驚きました。

これまで何度も猪肉を食べましたが、ベスト3に入る程の柔らかさで、臭みも皆無だったのです。

目を丸くしていると店員さんが、

「うちと提携している猟師さんが、罠で獲れた猪をすぐに処理して運んでくれるから、新鮮で美味しいんですよ。

しかもそれはまだ冷凍もしてないから、柔らかいでしょ?」

と言って、またもやニヤリと会心の微笑みです。

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私は感動のあまり、「猪のフランベ、もう一つお願い出来ますか?」と頼んでしまいました。何しろこのレベルの猪がなんと一皿690円なのです。

すると…

店員さん「気に入っていただけて良かったです!では次は、ちょっと味付けを変えてみましょうか。」

と言って、今度はステーキ風にして出してくれました!

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ビールも「岡山作り」という地元の銘柄に変えました。

地元のビールと猪ステーキ。ステーキがまた絶品なのでした。

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最初はちょっと頑固そうな雰囲気でしたが、やはり「桃太郎大通り」の「ももたろうの屋台」。

「桃太郎」にこだわって大正解でした。

「桃太郎」と言えば当然「犬、猿、雉」ですが、今の私にとっては桃太郎と言えば「猪!」なのです。

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猪で元気をつけて、翌日の吉備津神社での子供能楽教室を無事に乗り切ったのでした。

今回は何故かグルメリポート風になってしまいましたが、この辺で失礼いたします。