来年に向けて

江古田稽古場の稽古納めは先週終わったのですが、実は今日も江古田で稽古をして参りました。

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これは来年3月2日、3日に宝生能楽堂にて開催させていただく「郁雲会40周年記念大会」に向けての稽古なのです。

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昼から能の稽古を始めると、あっという間に日が暮れる時間になってしまいました。

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そこから舞囃子などの稽古をして、結局いつもよりやや遅い時間にようやく終わりました。

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最後の方には今年このホームページを見て稽古を始めてくださった謡稽古のお二人が交代でいらして、そのうちひとりはめでたく最初の曲「橋弁慶」の鸚鵡返しが終わりました。

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新人のお二人は来年の郁雲会が初舞台になる予定です。

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今日は澤風会のすべての稽古場を含めて、今年最後の稽古だったのですが、皆さん来年の舞台に向けてバリバリと稽古されていたので、「稽古納め」というよりは半分来年の「稽古初め」という気分でした。

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しかし今月に入り各地の澤風会稽古場で「良いお年をお迎えください」と繰り返して来て、それも今日が最後と思うと、しみじみと年の瀬だと感じます。

今年もあと三日です。

田町稽古場の忘年会

昨日は亀岡で今年の稽古納めでした。

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亀岡は新年に「謡初め」をするので、昨日の稽古納めは普段通りの稽古です。

静かに終えて、静かに年末のご挨拶をして亀岡を後にいたしました。

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そして東京に帰って来ると、なんだかいつにも増して各駅が賑やかな酔客で溢れています。

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ふわふわとした危なっかしい人々を避けながら家に帰りました。

巷は忘年会真っ盛りだったようです。

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そして今日は田町の稽古納めがあり、その後が我々の忘年会でした。

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今年の忘年会場は、ベテラン会員さんの奥様であり、今年稽古を始められた新入会員さんの伝手で決めていただいた、田町駅前の魚介料理のお店でした。

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私は学生時代に和歌山県の「加太」という町に行ったことがあります。

その加太は「クエ」という大きな魚の料理が有名な港町で、しかし高級魚で当時学生だった私には全く手が出なかった思い出があります。

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今日の忘年会では、岩手、和歌山、福島、山形、栃木などの地酒と共に(5杯も飲みました…)、そのクエを始めとする沢山の美味しいお魚をいただくことが出来ました。

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昨日の夜の私が見たら、きっと「今日は酔っ払いが多いなあ…やれやれまったく…」と思うような状態で、ふわふわとして今地下鉄日比谷線に揺られているのでした。

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田町稽古場もまた活力に溢れた楽しい稽古場です。

そもそもこのホームページも田町稽古場の方からのアイデアで生まれたのです。

田町の皆様来年もよろしくお願いいたします。

新型車両にて

3日前に鉄道ネタを書いたばかりで恐縮なのですが、今日の松本稽古ではまたしても鉄道絡みの出来事がありました。

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いつもと同じように新宿駅に到着して、松本行きの特急あずさに乗ろうとホームに降りると、何だかものすごい人だかりです。

…しかも様子がちょっと変です。

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ホームにいる人の半分以上がカメラを持っていて、止まっている特急スーパーあずさの写真をバシバシ撮影しています。

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よくよく見ると、どうやら以前にニュースで見た新型車両のようです。

しかも聞くとよりによって今日がそのデビューの日で、これから私が乗るのが第2号らしいのです。

確かに格好良い車両で、外から覗くと座席も実に座り心地が良さそうですが、座れなければ全く意味がありません。

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漸くドアが開くと、カメラを持った人々が嬉々としてゾロゾロと乗り込んで行き、私は列の後ろの方からジリジリと焦りながら乗り込みました。

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案の定、席はあっという間に埋まっていて、最早立って行くしか無いなと嘆息しかけた時。

ひとつだけ空いている席が目に入りました。

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しかしそこは、向かい合わせにした席に3人の喪服の女性が座っているボックスだったのです。

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究極の選択ですが、ここはやはり座って行きたい所です。

「すみません、ここ空いてますか?」

「あら、空いてますよ。」

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という訳で、とりあえず座れてほっとしました。

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3人組は、船橋から来て韮崎である告別式に向かうらしく、1人は最近「ためしてガッテン」の「コレステロール」がテーマの回にエキストラで出演した事があり、やや年かさの女性は煙草をやめられないのが問題らしく、皆車内販売のワゴンが来たらビールでも飲んでしまおうと思っており、更に1人はお腹もちょっと空いたので韮崎で有名な蕎麦屋に寄ろうと画策しており、しかし式の時間を鑑みるとそれは難しいと別の1人に諭され、それにしてもワゴンが来ないと苛立ち…

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…と、ある程度予想はしていたのですが3人の喪服女性は新宿〜甲府間を完璧にノンストップで喋り倒して、「賑やかでごめんなさいね!」と言い残して甲府で降りていかれました。。

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やや呆然としつつ席を元に回転させて、快適な新型座席になんだかグッタリと凭れながら松本に向かったのでした。。

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松本稽古で美味しい信州林檎や、松本で売っていたという「今川焼き」などをいただき、むしろ元気回復して帰りの特急に乗りました。

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帰りは新型車両ではなく、いつものようにガラガラで心からほっとしたのでした。

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江古田稽古場の忘年会

今日は江古田稽古場の稽古納めと忘年会がありました。

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もう10年ほど前になるジパング倶楽部時代から続けてくださっている8人の方々や、学生時代から稽古されている大ベテランの方々などで、江古田駅近くの割烹で賑やかに宴会をいたしました。

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席上である会員さんが「忘年会とは、その年の苦労を忘れるために行う宴会だそうです」と仰いました。

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個人的には、今年も嬉しい事が沢山あり、また悲しい出来事も多くありました。

そしてそれらの物事と平行して、必ず日々の稽古或いは舞台のどちらかがあった訳です。

稽古も舞台も、必然的に何がしかの「苦労」を伴うものです。

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つまり、今年の苦労を忘れるという事は、今年の悲喜交々も忘れてしまう事になってしまいます。。

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なので私はむしろ、「色々あり過ぎて忘れてしまいそうな、この1年に起こった様々な出来事を、みんなで思い出す会」の略称として「忘年会」と思うことにしたいと思います。

…ちょっと強引ですかね…。

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江古田稽古場の皆様、今年も色々とありがとうございました。

来年もどうかよろしくお願いいたします。

遅延の理由は…

ちょうど一週間前に、早朝の青森駅で停電トラブルに巻き込まれた話を書きました。

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するとそれを読んだ青森在住の京大宝生会の同期から、「何かいつもトラブルに巻き込まれているね」とメールが届きました。

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確かに今年も、鉄道絡みでは色々な事がありました。

・大雪、豪雨、台風による遅延。

・イノシシやシカと衝突しての遅延。

これらは毎年の事なのですが、それ以外にも、

・京都から東京行きの新幹線に乗ってすぐに「お客様の中でお医者様か看護師の方がいらしたら、至急7号車のデッキまでいらしてください」とアナウンスがあり、ややしてから「この列車は米原駅で臨時停車します」と再度放送が。

そして米原駅で暫し止まった後に「看護師の方のご協力により、急病のお客様を無事に救急搬送出来ました。」とまた放送があり、車内には何となく安堵の空気が流れました。

…という事などもあり。

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今月に入っても、

・車が踏切に強引に進入して、遮断機の棒が折れて線路を塞いだ為に特急あずさが遅延。

またその後に、先週の青森駅の停電がありました。

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…そして昨日。

亀岡稽古を夜に終えて、京都駅に移動して新幹線に乗ろうとしたら、いつも乗る比較的空いている「ひかり」がホームにいません。

その理由は…

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「岡山駅でお客様のペットの犬が新幹線ホームから線路に降りて現在逃走中のため、ダイヤが乱れております」

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…新幹線の線路を必死で逃げる犬と、それをまた必死に追いかける駅員さんを想像すると、大変失礼なことながら少しニヤリとしてしまいました。

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今年もまだ長距離移動が何度かあり、来年もまた電車に乗る日々が続きます。

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勿論移動中は何事もないのが一番なのですが、ここまで来ると次はどんな思いもよらない出来事が起こるのか、少しだけ期待する気持ちもあるのです。

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また何か驚くような事があれば、ご報告させていただきます。

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…あの逃げた犬が、無事に飼い主の元に帰れたことを祈りつつ。

「紫明荘組」の忘年会

今日は京都紫明荘稽古場の稽古納めの後に、四条大橋南西詰にある「東華菜館」にて忘年会をいたしました。

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忘年会は紫明荘稽古場の最大の恩人である植田竜二さんへの献杯で始めさせていただきました。

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美味しい中華料理を食べながら、本来ならばこの忘年会に参加された筈の植田さんの思い出話や、今年の舞台や稽古の様々なエピソード、来年の抱負などを語り合った楽しいひと時でした。

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実は「紫明荘」は植田さんのいらした「島津製作所」の施設だったので、来年からはお借り出来ないことになりました。

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しかし新しい稽古場を色々と模索しながら、紫明荘組は来年も一層稽古に舞台に励んでまいります。

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私の一存なのですが、稽古場は変わっても、来年もこの稽古場の名前は正式名称「京都紫明荘組稽古場」、通称「紫明荘組」と呼んで参りたいと思います。

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紫明荘組の皆様、今日もありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

張り扇の修理

我々は稽古の時に、普通の扇の他に「張り扇」というものを使います。

このような物です。

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張り扇は、扇の骨に和紙を重ねて貼り付け、更に上から牛や鹿の皮で包んで作ります。

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私も以前は自分で作ったものを使っておりましたが、今使っている写真の張り扇は私の自家製とは全く違う上等なものです。

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7年程前に、大皷方の佃良太郎さんの結婚式で、引き出物として頂戴したのです。

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出席した能楽師200人分の張り扇を、なんと良太郎さんのお父様の佃良勝先生が自ら一本一本作って下さったものなのです。

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以来7年、全国どこへ行くにもこの張り扇と一緒でした。

海外にも何度か一緒に行きました。

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何万回と叩いても頑丈に耐えてくれていたこの張り扇なのですが、実はついに少し痛んでしまいました。

一本の白い部分と茶色の持ち手部分の縫い目が解けて、スポッと抜けてしまったのです。

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扇の骨が芯になっている構造がよくわかりました。

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…しかしこのままでは明日以降の稽古に支障をきたすので、自分で修理することにしました。

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ごく普通の黒い糸と針で、白い部分と茶色の部分をジグザグに縫い、更に上からぐるぐる巻きにして完成です。

また明日からバシバシ叩いていかせてもらいます。

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張り扇さん、これからもどうぞよろしくお願いします。

銀杏吹雪

昨日の朝は京都大山崎の宝寺で稽古でした。

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その稽古中に、会員さんの一人が窓の外を見て、「あら!雪⁉︎」と声を上げました。

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しかし昨日朝は良い天気で、そこまで寒くもありません。

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何だろうと窓外を見ると、境内の大銀杏の葉が、風が吹く度にまるで雪のように大量に散っていたのでした。

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「花吹雪」ならぬ「銀杏吹雪」だったのです。

とても美しい光景でした。

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そして昨日午後には名古屋経由で特急しなのに乗り、松本に向かいました。

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恵那あたりから山に分け入って木曽路を信州に向かっていくと、季節が秋から冬にどんどん進んでいくのがわかります。

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紅葉はだんだんと無くなり、途中で行く手に雪を被った木曽御岳が見えて来て、やがて松本盆地に入ると北アルプスは今回も寒々しい雪雲に覆われていました。

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天気予報では西日本平野部でも初雪の予想で、夜になると松本はしんしんと冷え込んで来ました。

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そして今朝、今度は特急あずさで新宿に向かいました。

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ところが松本を出て間もなく、上諏訪駅で特急が止まってしまいました。

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茅野の先で車が強引に踏み切りに入って遮断機の棒が折れたとかで、30分程立ち往生してしまったのです。

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仕方なく本を読んで待っていると、目の端の車窓外を何か白い粒が横切りました。

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昨日の「銀杏吹雪」のことがあるので、「また雪に見える何かかな?」と思って窓をじっと見てみました。

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すると、今度は間違い無く白い雪の粒が、はらはらと舞っていたのです。

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降っている雪を見たのは今シーズン初めてでした。

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昨日の「銀杏吹雪」と今日の「初雪」。

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秋の終わりと冬の始まりを体感出来た週明けでした。

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…しかし私はまたも風邪気味になってしまいました。。

大きな舞台は一段落したので、無理せずに治したいと思います。

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日本女子大宝生会、復活なるか

私の母親は「日本女子大学宝生会」の出身です。

なので、私が能楽の道に進むことになったのも、元を辿れば日本女子大宝生会があったおかげであるとも言えます。

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しかしながらこの日本女子大宝生会は20数年前になくなってしまいました。

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以来母親は、事あるごとに日本女子大宝生会を復活させたいと言って、様々な働きかけをしておりました。

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ちょうど一年前からは、日本女子大構内にある同窓会館「桜楓会館」の和室を毎週木曜日に借りて、稽古勧誘のビラを配って学生を待つ、ということもして来ました。

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しかし学生さんの反応は思わしくなく、木曜午後いっぱい桜楓会館で自分の稽古だけして帰ってくる、という日も何度もあったようです。

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私は神戸大学の復活にどれだけの苦労があったかを見て来たので、母親には「そう簡単には学生は来ないでしょう。3年は頑張る覚悟でないと」と言っておりました。

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ところが今日の江古田稽古の時に母親が、「実は学生ではないが、日本女子大の教職員7〜8人が集まって桜楓会館で稽古してくれることになった」と嬉しそうに言って来たのです。

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「学生ではない」と言っても、これは復活に向けての大きな一歩だと言えます。

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京大宝生会も、今の体制になる前には、教職員と学生が混ざって稽古していた時代があったと聞いています。

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まずはとにかく人を集めて、学内で稽古を始める。そして来春にその賑やかな稽古場を学生さんに見てもらえば、誰かが「自分も少しやってみたい」と思う可能性は十分にあります。

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去年の今頃よりも一段階現実味を帯びて来た「日本女子大学宝生会復活」。

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来年春の新歓には、私もデモンストレーションなど何か手伝いが出来たらと思っております。

松本は冬でした

今日の松本稽古では、季節の移ろいが如何に早いのかを実感いたしました。

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前回の松本はついこの前の火曜日で、その時は開智小学校の体育館でストーブ無しでも寒くない程の気温でした。

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しかし今日特急あずさで松本に向かうと、途中の八ヶ岳は雪をかぶってすっかり冬仕度です。

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落葉松の葉も半分くらい落ちていました。

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松本駅から見た北アルプスは、雪雲に覆われており、きっと雲が晴れると真っ白になっているのでしょう。

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駅前の気温計は、12時半の段階で10℃。

これでもかなり肌寒かったのですが、帰りの18時半には…

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4℃でした。身を切るような冬の寒さです。今夜は氷点下かもしれません。

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PARCO前の目抜き通り沿いでは、毎年恒例の「手作りクリスマスツリー」の展示が始まっていました。

正統派から…

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個性派まで。何十本もの趣向を凝らしたツリーが飾られていました。

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一週間足らずですっかり「冬」になった松本。

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次の稽古は12月です。その時には、また一歩季節が進んだ松本をご紹介できればと思います。