2019松本の秋景色

昨日は京都から名古屋経由で松本稽古に移動しました。

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台風19号による土砂崩れで、新宿発の特急あずさが暫く運休になってしまったのです。

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名古屋から特急しなので木曽路を辿って松本へ。

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松本はすっかり秋の装いでした。

稽古場近くの「四柱神社」に立ち寄ってみると…

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綺麗な紅葉が始まっていました。

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まだ一部だけの色づきですが、今年初めての紅葉狩になりました。

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おそらく去年紅葉狩に行った山奥の白骨温泉や乗鞍の辺りは、今頃紅葉のピークを迎えているはずです。

あの紅葉の絶景をまた見たいものです。

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松本駅から遠く望む乗鞍岳は、もう雪を被った姿でした。

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そして最近ではハロウィンがすっかり定着して、松本でも其処彼処にカボチャの飾りがありました。

宿の隣のレストランには…

かなり個性的なジャックオーランタンがいました。。

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11月17日の「松本澤風会大会」に向けて、来週も松本稽古に行く予定です。

更に深まり行く秋の風景が見られることでしょう。

「葵上」悪戦苦闘中…

今日は江古田稽古で、その前後に能「葵上」の稽古をいたしました。

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「葵上」はこれまで舞った曲とはいくつかの点で異質だと感じます。

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先ずはシテ謡の節付けが非常に複雑で難解です。

ところが更に、その複雑な節を正確に謡うだけでは全く足りず、味気ないような気がするのです。

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「どう謡うかは演者に任せます」というような”余白”の部分が大きいとも言えるかもしれません。

その余白に何をどう描くかに悪戦苦闘している訳です。。

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蛍のように月のように光る君。

一方で朝顔の花が萎れていくように衰え行く自分。

そして春の大地に一斉に芽が生えるように湧き上がる恨み…

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これらを一体どう表現すれば良いのでしょうか。

感情移入し過ぎると、歪んで品の無い謡になる恐れもあります。

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まだまだ手応えは感じられず、悪戦苦闘は続きます。。

2件のコメント

遠い国を想う日

昨日は松本稽古で、今日は松本から亀岡に移動しての稽古でした。

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長野県から電車を乗り継いで亀岡へ。

その道すがら、私は「亀岡で”アサギマダラ”に会えるだろうか…」と考えていました。

秋に日本の高原地帯を飛び立って、遠い遠い南の島まで渡っていく蝶です。

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そしてアサギマダラは渡りの途中で「フジバカマ」という花に立ち寄るのです。

亀岡稽古場には秋になると「フジバカマ」がたくさん咲き、毎年アサギマダラがやって来ます。

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しかし、今年は10月の亀岡稽古日が例年より少し遅くなってしまいました。

アサギマダラはまだいてくれるだろうか…

と淡い望みをいだきつつ亀岡に到着しました。

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雨が上がったばかりの亀岡稽古場には、「フジバカマ」がやはりたくさん咲いていました。

しかし、あの鮮やかな翅の「アサギマダラ」は見当たりません。

違う場所のフジバカマも探してみましたが…

やはりアサギマダラは見つかりませんでした。

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雨上がりなのでどこかに隠れているのか、それともすでに南を目指して旅立ってしまったのか…

懐かしい彼らとの一年ぶりの再会は叶いませんでした。

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昨夜は松本の宿で、遠い国に住む古い友人と久方ぶりに電話で話しをしました。

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友人から悲しい報せのメールが日曜日にあり、慌てて無料通話の出来るアプリに登録して電話したのです。

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辛い事があった友人ですが、電話では以前と変わらない穏やかな声でした。

慰める適切な言葉も見つからず、しばし静かに昔の話をして電話を切りました。

友人は少し気が晴れたと言ってくれました。

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一方で、昨日のブログに書いた、京都とプラハを撮影している写真家の方から素敵な写真が送られて来ました。

“プラハの修道院のビール”だそうです。

世界一と言われるチェコのビールを、いつか現地でこの写真のように飲んでみたいものです。

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遠い国へ旅するアサギマダラ。

遠い国の古い友人。

遠い国の素敵な写真。

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昨日今日は、広い世界にしみじみと想いを馳せる日になりました。

「楽しい経験でした」

昨日は「ゲストハウス月と」にて、京都紫明荘組稽古でした。

先月の澤風会京都大会以来の稽古です。

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大会で能「羽衣」を舞われた方が最初からいらしていて、

「羽衣はとても楽しい経験でした」

と言ってくださいました。

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それは私にとって何よりも嬉しい感想でした。

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一曲の能をゼロから稽古して、本番が良い舞台になるように作り上げていくのは、本当に大変な道程なのです。

その稽古の過程で不安や苦労が強過ぎると、暗い記憶ばかり残ってしまいます。

如何にしてそうならずに、無理なく進んでやる気と技術を少しずつ上げて行き、”良い経験を積んでいる”と思ってもらえるか…。

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そんなことをいつも考えながら稽古して来ました。

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なので、「楽しい経験でした」という感想を聞いて、全ての苦労が報われた気がしてジーンと深く感動したのです。

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ちなみに能「羽衣」のシテの方が稽古用に作られた”天女の羽衣”があるのですが、その衣は京大宝生会の能「竹生島」の天女稽古用に受け継がれることになりました。

「竹生島」があの「羽衣」のような良い舞台になるように、手作りの羽衣のパワーをお借りしたいと思います。

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昨日は他の会員さん達や京大若手OBOG達も、それぞれの新しい曲を次の舞台に向けて稽古し始めました。

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そして更に。

夏休みの「月と 寺子屋キャンプ」の参加者の男性が、昨日から新たに澤風会会員になって稽古を始めてくださったのです。

本業は写真家で、「京都とプラハ」をテーマとした写真を撮り続けているそうです。

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新しい顔触れも加わって、再び発進した京都紫明荘組稽古場です。

皆さまに力をいただいて、私もまた頑張って参りたいと思います。

10月に”夏バテ”とは…

昨日の青森稽古では、さすがに秋の涼しさを感じられるだろうと期待しておりました。

むしろちょっと肌寒いかな…と思っていたくらいです。

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ところが、夜は18〜19℃くらいで少し涼しいと思いましたが、今朝青森駅前の宿を出るとムッとして暑い陽気だったのです。

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10月に入った青森でこの暑さか…

とややげっそりしながら新幹線で東京に戻ると、当然ながら青森よりも一層高い気温でした。

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一体いつまでこの暑さは続くのだろう…と更にげっそりしながらも江古田の個人稽古に向かい、続けて夜の田町稽古に移動しました。

稽古を終えると、なんだか”夏バテ”のような状態になっていました。。

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明日はまた小学校巡回公演で、能「黒塚」のシテを勤めます。

今日よりも少し気温が低い天気予報ですが、なんとかその通りになってほしいものです。

「居囃子」と「独調」

昨日は松本稽古、今日は朝に松本を出て大阪香里能楽堂に移動して、今週土曜日開催の「七宝会」の申合がありました。

私は能「玉葛」の地謡でした。

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申合を終えて、今は綺麗で雄大な夕焼け雲を眺めながら新幹線で東京に向かっております。

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先週末の「澤風会京都大会」の話題をまた一つ。

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今回の澤風会の番組では、「居囃子」と「独調」が計5番も出ました。

これは14回の歴史の中でも初めてのことです。

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最初の居囃子「船弁慶クセ」は、京大宝生会の2回生が4人揃ってそれぞれ地謡、大鼓、小鼓、笛を勤めました。

御囃子の稽古を始めてまだ日が浅い彼らですが、実に一所懸命に稽古していました。

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本番では彼らの悲愴感すら漂う真剣な顔と、それとは相反してどこかほのぼのとした雰囲気の演奏とのギャップが、実に良い味を出していました。

2回生は本当はもう1人いて、彼が揃うと太鼓も含めた「五人囃子」が完成するのです。

次回以降の五人囃子が非常に楽しみです。

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続く「独調」も、小鼓と謡、大鼓と謡、太鼓と謡、というように楽器のバリエーションが豊富でした。

今回たまたま京大宝生会の現役同士、またOBOG同士だけの組み合わせになりましたが、京大以外の会員さんも御囃子を稽古している人が多いのです。

次回にはそのような方々も「居囃子」や「独調」に挑戦されると良いと思います。

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普段の澤風会や京大宝生会の舞台では、玄人の御囃子方が、舞や謡に合わせて演奏してくださいます。

しかし謡も御囃子も素人という今回の「居囃子」や「独調」のような番組では、互いに謡の節を覚えて、また御囃子の手を学ばないと上手く合わせることが出来ません。

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これは能を理解する上で大変に勉強になる経験だと思うのです。

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澤風会会員や京大宝生会は今後も「居囃子」や「独調」に積極的に挑戦して、その経験を能や舞囃子の地謡に、また自分の舞う能や舞囃子に活かしてもらいたいと願っております。

大事な意味を持つ「羽衣」演能

先週土曜日の「第14回澤風会京都大会」は、おかげさまで無事に終了いたしました。

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今回出た能「羽衣」は、大きな意味を持つ番組でした。

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シテの会員さんは、学生能などの経験も無く、紫明荘で全くのゼロから私が稽古を始めた方です。

その方が10年ほどを経て、「教授嘱託」といういわばセミプロの免状を取るまで上達されて、その嘱託免状取得の披露として今回「羽衣」の能を舞われたのです。

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澤風会だけで稽古を受けて嘱託まで上達されたのは、実はこの方が初めてです。

その披露の「羽衣」を何としても良い舞台にしたいと思い、澤風会の皆様にも色々とご協力をいただいて9ヶ月間頑張って稽古して参りました。

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その甲斐あって、本番は非常に良い舞台でした。

キリの最後の辺りでは、これまでの長い道のりや、植田竜二先輩のことなどが思い出されて、後見座で見ていて胸が熱くなりました。

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また今回「羽衣」の地謡前列は、女性の会員さん達に勤めてもらいました。

これはその方々に、この先いつか嘱託になってもらえたら、という願いを込めた布陣でもあったのです。

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今回の能「羽衣」はおかげさまで無事に終わりました。

しかしこの舞台は最終目標ではなく、ひとつの通過点なのだと思います。

嘱託になられた会員さんや、地謡前列の方々は、今回の経験を糧により高いレベルを目指して稽古を続けていただきたいと願っております。

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今は松本稽古に向かう特急あずさ車内です。

澤風会のことはまだまだ書きたいのですが、仕事のヤマ場が続いており、覚える謡や型が目白押しなのです。

しばし勉強時間に突入したいと思います。。

第14回澤風会が無事に終わりました

既に日がかわって昨日のことになりますが、「第14回澤風会京都大会」はおかげさまで無事に終了いたしました。

書くことは無限にあるのですが、ともかく皆様に心より感謝を申し上げます。

また明日以降に落ち着いて舞台の模様などを書かせていただきたいと思います。

今回お世話になりました皆様、重ねてどうもありがとうございました。

準備万端

今日は京都大江能楽堂にて、いよいよ明後日に迫った「第14回澤風会京都大会」前の最後の紫明荘組稽古をいたしました。

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仕舞、独吟、舞囃子、そして能「羽衣」を、本番と同じ舞台で稽古したのです。

細かな位置取りや見る方向などを最終確認することが出来ました。

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羽衣に使用する”羽衣の松”の作り物も、今日のうちに作りました。

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そして稽古の前には、楽屋に出す飴やお菓子や珈琲などの買い出し。

稽古の後には、宴会場のホテルに行って宴会の打ち合わせ。

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本番前にすることは、今日のうちに全部終えることができました。

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明日は一度群馬県の甘楽町に行って薪能に出演します。

そして明後日の朝にまた京都に戻って来るのです。

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澤風会の最早”名物”となっている台風がこのタイミングで発生したようなのですが、土曜日はなんとか天気持ち堪えてほしいです。

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皆さま明後日21日土曜日には、「第14回澤風会京都大会」にどうかお越しくださいませ。

大江能楽堂にて午前11時始曲です。

能「羽衣」は12時40分頃〜13時40分頃の予定です。

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どうかよろしくお願いいたします。

予祝いの晩御飯

今日は朝から京都に移動して、久しぶりに「ゲストハウス月と」にて紫明荘組稽古でした。

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21日に開催の「第14回澤風会京都大会」直前の稽古だったので、沢山の方々に来ていただきました。

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京大宝生会のOBOGも沢山で、稽古が終わってから神戸大宝生会OBの方も含めて5〜6人で晩御飯を食べに行きました。

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話題は京大神大、現在過去未来と360度以上に及んで、終盤は半ば混沌としていたのですが、その中で早くも来年の「澤風会15周年記念大会」の話が出ました。

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4年前の「10周年記念大会」では能「加茂」が出ました。

更に9年前の「5周年記念大会」に遡ると、能「夜討曽我」、「藤」、「井筒」、「船弁慶」と4番の能が出たのです。

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今年の第14回大会の能「羽衣」を経て、来年はどんな能が出ることになるのでしょう。

しかし勿論、先ずは今週末の第14回大会が肝心です。

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晩御飯の途中でOBのM君が、「確か新潟辺りでは”予祝い”という慣わしがあるそうですよ」

と言いました。

物事の成功を予めお祝いしてしまう、という風習だそうです。

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あらかじめ盛大にお祝いをすれば、成功に向けてのモチベーションは確かに上がると思います。

それでは今日の晩御飯は「第14回澤風会大会」の”予祝い”になるのだろうと、我々は一層盛り上がったのでした。