声の高さ
今日の江古田稽古に、ホームページを御覧になった方が見学に来られて、そのまま謡の稽古を少し始めてくださいました。
また新しいお仲間が増えて、嬉しい限りです。
その方は歌をうたうお仕事の女性なのですが、それでもやはり私の謡う声と高さを合わせるのが難しいと仰いました。
女性と男性は元々の声のトーンが違いますが、私の稽古に於いては、お弟子さんが一番出しやすい高さを私が探して、その高さで謡うように努めております。
その方ももう少し慣れてくれば、適切な高さが見つかると思います。
実は私は、東京芸大に入るまでは「自分の声の高さ」というものに意外に無頓着でした。
その日の体調や気分によって、日々声の調子が変わるような気もして、しかしそれでも謡は相対的な音程が合っていれば良いのかな、と思っていました。
その意識が変わったのは、芸大の「ソルフェージュ」という西洋音楽の授業でのことです。
ソルフェージュの先生が「ちょっと謡を謡ってみて」と仰られて、私が「鶴亀」の弱吟を謡ってみた所、それを瞬時にピアノで演奏されたのです。
また、高さを色々変えて、同じ鶴亀のメロディを弾いてみてくださいました。
「1オクターブの範囲で謡の高さを自在に変化させられれば、理論的にはどんな声の人とも合わせて謡うことが出来る!」ということにそこで気付きました。
それから色々試行錯誤を繰り返して、一音単位で高さを微調整出来るように努力しております。
しかしまだ上手くいかないこともあり、稽古中に気がつくとお弟子さんがすごく高い声でヒイヒイ言いながら謡っておられたりして、慌てて調子を低く直したりしております。。
お弟子さんが気持ち良く謡える高さを見極めて、瞬時にその高さで謡えるように、今後も努力を続けていきたいと思っております。