南風月
8月がもうすぐ終わります。
今日は軽井沢にある舞台で、大鼓の会に出演して参りました。
緑のトンネルを抜けた所にある緑に囲まれた会場で、「葉月」に相応しいなと思ったのですが、なんと「葉月」とは「葉が落ちる月」という意味だそうですね。
旧暦の名前とはいえ、ちょっと意外な印象を受けました。
別の語源で、台風が来る季節なので台風を表す南風(はえ)から南風月→はえづき→はづき、という説もあるそうで、私はこちらの方が好みです。
それで思い出したのですが、南風を「はえ」、東風を「こち」というのを始め、日本語には異なる種類の「風」を表現する単語が多くあります。
世界的に見ても、その民族にとって大切な事象には、それを表す言葉が沢山あるのです。
例えば、モンゴルの人々は「馬」を非常に細かく呼び分けているし、チベット人は「ヤク」をやはり年齢性別のみならず、角の形、毛の色、性格までも複雑に組み合わせて、それぞれ別の呼名で呼んでいるそうです。
日本語に「風」や「雨」など気象に関する単語が数多くあるのは、やはり四季の豊かな土地に暮らす日本人にとって、気候の微妙な違いが大切に思われていたということなのでしょう。
今日は日本の東を南風、台風が過ぎていきました。
この台風がおそらく、秋の空気を日本に呼び込んでくるのだと思われます。
また季節が移ろっていくのを味わえる幸せを感じつつ、軽井沢の緑の会場を後にいたしました。
美しい四季と美しい言葉を持つ幸せを感じさせていただける、文字通り風情あるお話が、心に涼風を吹かせてくれるようです。「葉月」の由来、どちらの説も面白いですね。