卒寿祝いの「三笑」
今日は私の生まれ故郷の三重県久居に日帰りで行って参りました。
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ここが私の実家です。1939年築のまあまあ古い家で、今は父親が中をリフォームして暮らしています。
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ここ数年の帰省の時には、
父親と顔を合わせる→父親と墓参りに行く→そのまま少し散歩→日が暮れたら近所のハンバーグ専門店で一緒に晩御飯→東京に戻る
というコースがほぼ決まっています。
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でも今回は、ちょっと違う目的がありました。
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実は父親は昨年末の誕生日で卒寿を迎えて、12月25日に親類が集まって卒寿祝いの会を催したのです。
しかし私はその日は奈良と京都で舞台があり、お祝い会への出席が叶いませんでした。
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そこで父親には、「お正月に久居に帰った時に、卒寿祝いの謡をプレゼントするよ」
と伝えておいたのです。
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曲を何にしようかと考えて、「三笑」の
「菊の白露つもりつもって 不老不死の薬の泉よも盡きじ…」
という部分から最後までを謡うことにしました。
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リフォームしたリビングのフローリングの床に正座して、マスクに洋服というなんとも風情の無い有様でしたが、お祝いの心を込めて「三笑」を謡いました。
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父親は喜んでくれて、御礼という訳でもないのでしょうが、趣味で描いた絵をくれました。
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今日はまだハンバーグ屋さんが正月休みなので、2人で珈琲を淹れてゆっくり飲んで、それで帰ることにしました。
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帰り際に1人でお墓参りをした後に、やはり1人で少し散歩してみました。
久居は本当になんにも無い静かな町で、遠くに見える布引山も実に穏やかな姿です。
「子供の頃この辺で土筆採りをしたっけなあ…」
などとしみじみ思いながら、布引山に背を向けて久居駅へと帰路についたのでした。