マスクと能面
昨日は久しぶりの江古田稽古でした。
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ウイルス感染防止のため、私も会員さん達もマスク着用での稽古です。
私はここ2週間ほどで何度か”マスク稽古”の試運転をしたので、マスクをして謡うことには慣れていました。
しかし会員さん達はやはり違和感があるようで、
「何となく息苦しさがありますね…」
という声が聞こえてきました。
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そこで私は、
「確かにマスクをして謡うとちょっと苦しいですよね。しかし、これは実は”能面”をかけている状態と近い感覚なのです。皆さんは今、能楽師の感覚を体験されている訳です」
と申し上げました。
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あちこちで「ホオ〜…」
と声が上がる一方で、ある会員さんが、
「そうです。私は以前に能のシテをした時には、わざとマスクをして稽古をしたのですよ」
と仰いました。
その方は4年前に能「俊寛」のシテをされたのです。確かにマスクをして稽古をされていた姿を覚えています。
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私「皆さん今回のマスク稽古で”能面の感覚”を体験していただき、いつか本物の能面をかけて、”俊寛”のような能を舞ってくださいね!」
今度は江古田稽古場がドッと笑いに包まれたのでした。