左と右
昨日の仕舞百番会で、一番多かった間違いが「左と右を逆にしてしまう」というものでした。
例えば「乗り込み拍子」という型があります。
これは比較的長めの距離を摺足で移動して、最後の止まり際に足拍子を左右ひとつずつ踏む、という型です。
この足拍子を左右どちらの足から先に踏むかは、踏む瞬間にどちらの手が上がっているかで決まります。
つまり左手が上がっていたら左足から。右手が上がっていたら右足から先に踏むのです。
これは「手足が連動する」という考え方です。
ところがこの「手足の連動」を実践しようとした時に、「頭では理解しているのに、何故か逆の足にしてしまう」という人が多いのです。
考えてみれば、日常生活で「右と左」をここまで細かく規定される事は先ず無い気がします。
私は稽古の時に「ここは左足から3足出て、かけて右へ行き、5足で右足かけて正向き、左足から出て5足で左止まり」という風に「右と左」の事ばかり毎日繰り返し言っています。
「どっちでも良いじゃない」と思う向きもあるかもしれません。
しかしこれは体重移動などの、身体の動きの理にかなった法則だと私は思います。
「左と右」の「手足の連動」の法則をマスターすれば、日常の動きにも無駄がなくなり、また身体のバランスも良くなって健康にも通じると思うのです。
という訳で、明日からも各稽古場で「そこは右手が上がっているから右足から!」と言った事を口うるさく言うと思いますが、どうか面倒と思わずに正しい動き方を会得していただきたいと思います。