緑樹影沈んで…
京大宝生会の竹生島能合宿2日目です。
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我々は宿を出て、近江今津港に向かいました。
左端に見える島影はそう、「竹生島」です。
そして中央部、点のように見える船は、竹生島からやって来た渡し船です。
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その船に乗り込んで、いよいよ「竹生島クルーズ」に出発しました。
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空は晴れて、波は穏やか。ちょうど心地よい風が吹く実に快適なクルーズでした。
全員が2階のデッキに上がって、風に吹かれながら竹生島を目指しました。
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いよいよ…
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到着です。
島の周囲が切り立った崖になっており、樹々が湖上に張り出しています。
魚影も見えて、正に「緑樹影沈んで 魚木に登る景色あり」という謡の通りの光景でした。
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到着後、観光客の皆さんが去るのを待って竹生島港にて能「竹生島」を一部奉納。
皆気分良く謡い、舞っていました。
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その後は能「竹生島」の展開を辿ります。
シテ「此方へおん入り候へ…」
シテを先頭に急階段を上って”弁財天”の社に。
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弁財天社は大きな建物です。
私「この土台が”一畳台”、この建物が”宮”の作り物ね…」
そして先ず前ツレが「社壇の扉を押し開き 御殿に入らせたまひ…」と社に入って行きました。
全員お参りした後に、今度は後ツレが「現れ給うぞかたじけなき…」と社から出て行きました。
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「竹生島ごっこ」を楽しみながら、順路を進んで行き、最後に皆で「かわらけ投げ」をしました。
直径5センチほどの土器の皿を投げて、鳥居を潜れば成功なのですが、中々難しいのです。
全員が上手くいかない中、最後にシテが投げたお皿が鳥居の真上を通過しました。
「これは成功と言って良いでしょう!」
と満足して、港への帰路につきました。
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途中ザッと降り出した雨も、幸いにすぐに止んでまた青空です。
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港近くの建物を見たシテが、
「先生、あれって後シテが持っている”宝珠”では…」
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おお、確かに屋根の天辺に”宝珠”が載っています。
これはどういう意味なのでしょうか…?
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そして竹生島への名残を惜しみつつ、再び船に乗って出発しました。
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出航直後に、竹生島のすぐ横に一艘の舟を見つけました。
なんとこの舟に、シテとツレに見える2人の人影が!
「リアル竹生島だ!」
と喜びながら、鏡のように凪いだ琵琶湖上を風に吹かれて近江今津へと向かったのでした。
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密度の濃いとても充実した良い能合宿でした。
部員それぞれの心に、琵琶湖や竹生島や、この2日間の出来事がしっかりと記されたことでしょう。
この合宿の経験を糧にして、京大宝生会は能「竹生島」へと向かう旅を、全員で力を合わせて続けて参ります。