宗家継承10周年
昨日の夜は水道橋宝生能楽堂にて、宝生和英家元の宗家継承10周年の記念行事が行われました。
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20代前半の若さで、亡くなられた先代の跡を継いで宗家になられてから10年。
御苦労の連続だったと思います。
宝生流のみならず、能楽界全体が高齢化などで危機的状況を迎えている中で、しかし若い和英家元はひたすらに前向きでした。
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希曲大曲を次々と演じて伝統を受け継いでいかれる一方で、能楽以外の様々な業種の人々と積極的に交流されました。
宝塚俳優やアニメ声優を起用した朗読劇など、この10年で新しい舞台の可能性を広げて、また若い世代を意識した企画を多く立ち上げられました。
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この10年間の新進的な試みは、和英家元と共に成長してきた20代30代の若手能楽師達に自然に浸透しているように見えます。
この先彼ら若手能楽師が、家元の思想を汲みつつそれぞれ自分で動くようになれば、新たな能楽の可能性が更に広がっていくことと思います。
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そして、継承10周年を迎えてもまだ30代前半という若さの和英家元です。
ご自身の可能性もまだ無限大にあるお年だと思います。
今のまま真っ直ぐに前向きにあと数十年進んでいかれたら、大変な功績を挙げて能楽の歴史に名を残す家元になられるのは間違いないと思います。
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この家元と同時代に生きられる幸せを感じつつ、微力ながら家元のために働かせていただきたいと存じます。