簡略化か伝統保全か。
先週の盛岡でのセミナーの時のお話です。
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盛岡の伝統的な踊り”さんさ踊り”が最近盛岡の大学生に流行っていて、大勢が熱を入れて踊っているという話が出ました。
それは大変良いことだと思ったら、その”さんさ踊り”は簡略化されたもので、本当に伝統的で複雑な”さんさ踊り”を踊れる人は逆に少なくなったというのです。
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すると今度は”大償神楽”を継承されている方が、「大償神楽は難しいところもあるが、簡略化することなく子供達に伝えていきたい。その難しい部分にこそ面白みがあるのです」と仰いました。
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私は大償神楽の方に、「神楽の演目には子供向けのものは無いのですか?」と聞いてみました。
すると、「いえ、一切ありません。いわゆる”子役”も無く、子供も大人も全く同じ神楽を稽古します」とのことでした。
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簡略化されて人口が増えた踊りと、後継者不足に苦しみながらも、頑固に形を変えずにその本質的な面白さを伝えていこうとする神楽。
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どちらが正解かを、簡単に決めつけることは出来ないと思います。
私自身は、大償神楽の考え方にとても共感を覚えますが、それだけでは今後続けていくのが難しい気もするのです。
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この”さんさ踊り”と”大償神楽”の命題は、今後長い時間をかけて考えて行きたいと思います。