夏の舞台
今日は水道橋宝生能楽堂にて、明後日開催の五雲会の申合がありました。
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私は最後の能「鵜飼」の地謡でしたので、少し遅めに能楽堂に到着しました。
楽屋更衣室の前で最初に行き会ったのが金森隆晋くんでしたが、彼の様子がいつもと違いました。
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風呂上がりのような火照った顔をして、髪もやはり水を浴びたように濡れています。
そして着ている浴衣は汗で肌に貼り付いていて、心なしか湯気のようなものが立ち上がっているようにさえ見えました。
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彼は実は初番の能「経政」のシテで、申合を終えてから更に先輩や師匠の指導を受けた後だったようなのです。
今日の東京は朝から蒸し暑かった上に、冷房も「経政」の頃はまだあまり効いていなかったのでしょう。
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思えば昨年の7月の五雲会では私も能「半蔀」のシテを勤めて、暑い経験をいたしました。
この時期の舞台は、暑がりの汗かきにとっては実に辛いものです。
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汗を自由にかいて良いものならば、暑さを我慢すれば済むだけの話なのですが、我々の場合、汗だくの姿を見所に晒すのはやはりあまり良くないのです。
私の場合、身体には悪いのでしょうが、舞台の前の水分を控えたりして出来るだけ汗を少なくする努力をしております。
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普通の人は「夏の浴衣」というと、お祭りなどの楽しい出来事と結びつくアイテムなのでしょう。
しかし私は、今の時期電車などで浴衣の人を見ると、暑い舞台と汗を我慢する苦痛が蘇ってきて「うわぁ…浴衣だよ…暑そう…」と反射的に顔を背けてしまったりするのです。
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暑い申合を終えた金森隆晋くんの能「経政」をはじめ、藪克徳さんの能「半蔀」、大友順さんの能「鵜飼」がある明後日の五雲会。
宝生能楽堂にて、7月14日正午開始です。
皆さま是非「熱い」五雲会の舞台を観にいらしてくださいませ。