能「安宅」無事終了しました
宝生会別会の能「安宅 延年之舞」はおかげさまで無事終了いたしました。
シテツレ子方合わせて10人が一斉に楽屋で装束を着けて、着いた者から順に鏡の間に移動するので、楽屋はてんてこ舞いです。
楽屋はとても大変なのですが、この「安宅」や、「正尊」、「七人猩々」、「春日龍神 龍神揃」、「鞍馬天狗 天狗揃」などのいわゆる「人数もの」の楽屋は、独特の華やかな空気に包まれます。
装束を着けたツレ同士が互いの姿を見て、「おっ、兜巾が似合うね。ベスト・トキニスト・オブ・ザ・イヤーだね!」などと評し合ったりしています。
安宅のツレ同行山伏の着付(最初に着る装束)は、大抵が白地に紺、緑、茶などの格子柄の模様が入った、そこそこ色のある装束です。
今日の私の着付は…とズラリと並んだ装束を見渡すと…。
白地に格子は皆と一緒なのですが、格子の色は薄い茶と銀鼠色で、全体に非常に落ち着いた(地味な…)色に見えます。。
しかし内弟子さんが言うには「澤田さんの着付は、僕のおすすめのシャンパンゴールドです!」
成る程!シャンパンゴールド!
…何か派手な着付に見えて来ました。
装束を着けて鏡の間に行くと…
先輩「あれ、澤田くんの着付、なんか地味だね」
私「いえいえ派手です。シャンパンゴールドですから!」
そういった空気も本番が近づくにつれて、まるでゴム飛行機のプロペラを廻すように徐々に引き締まっていきます。
そして囃子方の「お調べ」が始まる頃、鏡の間には、各々の緊張感が綯交ぜになった非常に張り詰めた空気が漂います。
やがて聞こえてくる「次第」の囃子に乗って、身も心もツレ同行山伏となった私は舞台へと飛び出して行くのでした。
昨日はお疲れさまでした。
なるほど、先生の着付けはシャンパンゴールドだったんですね!
席が前から2列目で舞台が近かったので、弁慶一行と共に自分もその場にいるような臨場感(カン違い?)に浸りながら楽しませていただきました。