自然の音に囲まれて

今週水曜日には、文化庁巡回公演で石川県白山市にある鳥越中学校に行って参りました。

金沢駅からバスで1時間ほど走って山間の中学校に到着しました。

大きくて立派な校舎です。

草の生えたグラウンドを見ると、不思議な懐かしさを感じました。

こんなグラウンドで学校生活を送ったことは無いはずなのですが…

そしてこの中学校は、周りを広大な水田に囲まれているのです。

田植えが終わったばかりで、青々とした苗が初夏の爽やかな風にそよそよと靡いているのを見ると、こちらもしみじみとした郷愁を感じました。

体育館で能「黒塚」の色々な準備を終えて、本番を待つ間に気がついたことがありました。

周囲に人工の音がほとんど無く、実に静かなのです。

前の道路を通る車は少なく、役場からの一斉放送の類いも皆無です。

体育館からグラウンドに出てじっと耳を澄ましても、聞こえてくるのは遠くでトンビがピーヒョロロと鳴く声と、蛙が控えめにコロコロと鳴き交わす声、あとは裏山の木々がそよぐ音くらいです。

演能中ももちろん周囲はとても静かで、能を観てもらうには理想的な環境でした。

豊かな水田と自然の音に囲まれた中学校。

何か映画にでもなりそうな、美しさと懐かしさを感じた鳥越中学校巡回公演でした。