地謡後列左端の仕事

今日は枚方市総合文化芸術センター小ホールにて「七宝会」が開催されました。

能「春日龍神」と能「源氏供養」が演じられ、私はこの2曲の地謡でどちらも後列左端に座りました。

この”後列左端”という位置はワキが座る「ワキ座」に近いので、曲によっては地謡以外の仕事があります。

例えばワキが位の高い僧侶の場合、「鬘桶」という漆塗りの丸椅子に腰掛ける場合があります。

その場合は鬘桶を地謡左端からワキ座に持って行き、ワキに腰掛けてもらうのです。

今回のワキは、春日龍神が「明恵上人」

源氏供養が「安居院の法印」。

どちらも位の高い僧侶です。

事前に確認しなければと思い、申合の時に御ワキに「鬘桶にかけられますか?」と尋ねてみました。

すると、

「いえ、うちの流儀はどちらの曲も鬘桶には座らず、”下ニ居”します」

と言われました。

少し意外に思いましたが、例えば「明恵上人」は非常に謙虚な性格だったと聞いた事があります。

また春日明神への敬いの心もあり、椅子に腰掛けずに地面に直接座ったのかな、とも思いました。

やはり流儀によってこう言った細かい違いがあるので、舞台に出る前の確認は大事だと再認識いたしました。

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