全宝連があるはずだった日

今日6月27日と明日28日には、金沢の石川県立能楽堂にて「全国宝生流学生能楽連盟自演会」が開催される予定でした。

しかし残念ながらコロナウイルスの影響で開催見合わせになってしまいました。

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全国から舞囃子もたくさん出る予定だったので、間違い無くとても熱い舞台が繰り広げられたはずなのです。

誠に無念の極みです。

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しかしながらこのような状況でも、京大宝生会の学生達は出来る稽古に地道に取り組んでいます。

昨日もzoom稽古をいたしました。

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交代で声を出しての鸚鵡返しで、1人最低ひとつは改善すべき点を指摘するようにしています。

今回は特に2回生がいくつか大事な節を覚えてくれました。

皆着実に進歩しています。

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さらについ先日には部長から、

「活動再開したら見学したいという新入生がいます。zoom稽古でも見学してもらって良いでしょうか?」

という内容のメールが来ました。

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きっと全国の宝生流の学生達も同様に、今出来る活動を懸命に模索して頑張っているのでしょう。

その努力が報われる日が早く来るように、そしてたくさんの学生達が一堂に会しての賑やかな舞台がまた戻ってくるように心から願っています。

私も出来ることを地道に続けて参りたいと思います。

七葉会の話し合い

一昨日の土曜日には、水道橋宝生能楽堂にて「五雲会」が無事に開催されました。

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見所の座席の半数には、「全国宝生流学生能楽連盟」の学生達から募集した「能に出て来る和歌」が貼られて、地謡は顔の下半分を覆面でおおい、切戸は換気のために開け放してあり…

等々、これまでの舞台とはいくつかの点で異なる様子でした。

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それでも200人近いお客様にいらしていただき、華やいだ見所を前にして勤める舞台は本当に久しぶりで、「ようやく帰って来たなあ…」としみじみと嬉しく思いました。

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その五雲会終了後に、「七葉会」のメンバー7人がこちらも数ヶ月ぶりに顔を揃えて会合を開きました。

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8月に予定していた「七葉会10周年記念大会」は、残念ながら来年に延期することになりました。

7人が主宰する各会とも、稽古がほとんど出来ない状況が未だ続いているのです。

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しかし、七葉会として今年全く何もせずに終わってしまって良いのか、何か出来ることは無いだろうか…と7人で相談しました。

その結果、

「七葉会10周年記念公演」

という形で、我々7人の若手楽師を中心とした玄人による能楽公演を開催することにいたしました。

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日時は8月9日(日)13時半開演予定。

場所は宝生能楽堂です。

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夜までかけて話し合い、番組もほぼ決まりました。

仕舞、連吟、舞囃子、半能と盛り沢山の番組です。

早急にチラシなどを作成いたしますので、番組詳細はまた追ってお知らせいたします。

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七葉会のそれぞれの会員の皆様と、世の中の人々に、少しでも元気をお届け出来るような熱い舞台にしたい。

その意気込みで7人とも張り切って準備を進めて参ります。

どうか続報を今少しお待ちくださいませ。

4ヶ月ぶりの五雲会開催

今日は水道橋宝生能楽堂にて、明後日20日に開催の「五雲会」の申合がありました。

私は能「杜若」の後見を勤めました。

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「五雲会」の開催は2月以来なので、実に4ヶ月ぶりになります。

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この五雲会を皮切りにお客様を前にしての公演がようやく再開されるわけですが、これからの舞台は

「楽師が安全に演ずること」そして

「お客様に安心してご覧いただくこと」

が何より重要になってきます。

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今回の五雲会も、

「見所の座席数を定員の半数(約230席)に減らす」

「地謡は覆面をした上で5人が横一列に離れて座る」

などと言った沢山の対策をとりつつ開催されます。

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そして座席を減らすにあたっては、座らない座席の上にある工夫をすることで、お客様に少しでも楽しんでいただけるようにしてあります。

なんとその工夫には京大宝生会の学生も一部関わっているのです。

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能楽を含めた舞台芸術全体が、この先は感染症と共存しながら生き残る道を探っていかねばなりません。

明後日の五雲会にどのくらいのお客様がいらしてくださるか、またそのお客様の反応、ご感想は如何なるものなのか。

今後の舞台活動のひとつの基準となるかもしれない重要な「五雲会」になりそうです。

夜の鹿の鳴き声

先日お伝えしました、宝生夜能「野守」と「いとうせいこうの能楽紀行」の有料動画配信。

ありがたいことに、ご覧いただいた何人かの方から感想のメールを頂戴いたしました。

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その中で、

「夜の鹿の鳴き声がどんなものか、聴いてみたくなった」

というものがありました。

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「能楽紀行」の中で私といとうせいこうさんが、

「奈良公園の夜の鹿の鳴き声は怖いんですよね!」

と2人して盛り上がったシーンがあったのです。

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…あれは平成の初めの頃のことです。

当時京大宝生会では、私を含めて何人かが車を所有していました。

今よりも車にかかる費用が格段に安かったのです。(駐車場が月8000円、ガソリン代はリッター90円前後でした)

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金曜日の夜に稽古を終えてから、しばしば皆で深夜のドライブに行きました。

その時に奈良公園辺りまでも何度か繰り出したわけです。

車を置いて、夜の奈良公園を探検しました。

東大寺周辺など、街灯も少なくて真っ暗闇です。

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恐る恐る歩いている途中、出し抜けに我々のすぐ横から、

「ピョー❗️」

という甲高い声が聞こえて全員飛び上がりました。

暗闇を透かしてよく見ると、そこには数頭の鹿のシルエットが。

さらに目が慣れてくると、森の中にはたくさんの鹿が休んでいるとわかりました。

我々が逆に鹿達を驚かせてしまったのでしょう。

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いとうせいこうさんが、

「奈良公園の夜は真っ暗で、鹿が鳴いてね…」

という話をされた時にあの鳴き声が鮮やかに思い出されて、思わず、

「夜の鹿の鳴き声、怖いんですよね!」

と2人で盛り上がったというわけなのです。

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先日の撮影では、いつか「いとうせいこうのリアル能楽紀行」として奈良ツアーを組みましょう、という話も出ました。

もしも奈良ツアーが実現したら、オプションで「奈良公園の夜の鹿の鳴き声を聴きに行く」という企画を是非やってみたいものです。

夜能「野守」まもなく配信されます

先日撮影された夜能「野守」と、私も出演しております「いとうせいこうの能楽紀行」の動画が、本日18時より有料動画配信されるそうです。

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配信に先駆けて、宝生和英宗家といとうせいこう氏の特別対談が以下より視聴できます。

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また18時より始まる有料動画配信の視聴方法は以下より調べられます。

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今回の動画配信のプラットフォームである「能LIFE Online」は、動画配信だけでなく公演情報やチケット、グッズの購入なども可能な、コロナ後の世界を見据えた宝生会の新しいプラットフォームです。

皆様是非この機会に体感してみてくださいませ。

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能「野守」と「いとうせいこうの能楽紀行」

をご覧いただき、御感想などコメントしていただけると大変有り難く思います。

どうかよろしくお願いいたします。

「コロナ後」を考える月に

6月に入りました。

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緊急事態宣言は解除されたとは言え、東京ではまだ連日2桁の感染者が出ており、決して気を緩める事が出来ない状況です。

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しかしながら、そろそろ先の事も考えていくべき時期だと思います。

先ずは延期している「第7回澤風会郁雲会大会」の開催日程を発表させていただきます。

9月21日(敬老の日)

に渋谷のセルリアン能楽堂にて、今度こそは何としても開催する所存です。

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そして澤風会の稽古は、今月いっぱいは様子を見て、7月より再開しようと考えております。

いきなりコロナ以前の頻度と密度には戻さずに、時間と空間に余裕を持って、”三密”を避けて稽古できるように心がけたいと思っております。

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そして通常稽古と並行して「遠隔稽古」も週末を中心に続けて参ります。

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6月は、「コロナ後」のことを色々と考える月にしたいと思います。