御息所が抜けていって…
昨日の五雲会には、ご遠方からもたくさんの皆様にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
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能「葵上」に関しては、自分でやろうとした事の大半は表現できたと思います。
あれが私の今回の”六条御息所”の解釈でした。
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しかし舞い終えて感じたのは、この「葵上」という曲は、今回と違う解釈で演ずれば全く異なる色の曲に変貌するのだろうという事でした。
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願わくばこの先何回も「葵上」を、それぞれ違うカラーで演じてみたい。そう強く思いました。
そういう願望を感じた曲は初めてで、なんとも不思議な能と出会ったものだと思います。
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私はあるシテが終わると、独特の”虚脱感”を感じます。
そして今回”六条御息所”が抜けた後には、これもまた過去感じたことの無い規模の、大きな”空虚”が残りました。
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このシテの後の虚無感を埋めて現実に戻るために、私はいつも初めての道を当てもなく歩くようにしています。
今は三河島駅の横の公園で、ブランコの練習をする親子をぼんやりと眺めながらブログを書いております。
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今日は日暮れまで歩いて、明日からの稽古の日々に向けて徐々に現実に帰りたいと思います。