令和元年シーズン初の薪能
今日は水道橋宝生能楽堂にて「五雲会」に出演いたしました。
私は正午始めの初番の能「俊成忠度」の地謡を勤めましたが、終わって楽屋での挨拶を済ませるとすぐに水道橋を出ました。
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夜に奈良の「興福寺薪御能」に出演する予定もあったのです。
曲は”三種の神器”のひとつ”草薙の剣”にまつわる能「草薙」。
私はこちらも地謡でした。
私にとっては今年に入って初めての「薪能」です。
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初番の金春流能「羽衣」が終わってから薪に火が入りました。
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そして「草薙」が始まって地謡に座ると、薪の火が靡いて煙の匂いが漂って来ます。
この匂いを嗅ぐと、「ああ、今年もまた薪能シーズンがやって来たなあ」としみじみ実感します。
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煙たいという人もいますが、私はこの薪能特有の煙の匂いはむしろ好きなのです。
ただ、紋付に染み込むので、家に帰って紋付を干すと、翌朝に部屋中が燻されたような香りになるのは少々閉口しますが…。
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そして能「草薙」も無事に終わり、挨拶を済ませるとまたすぐに興福寺を出て、近鉄に飛び乗りました。
一度東京に帰って、明日は改めて今度は熱海の海岸での薪能に出演するのです。
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明日もあの薪の匂いに包まれて、頑張って能「天鼓」の地謡を謡おうと思います。