ひと足100万km…!
昨夜遅くに宝生能楽堂にて能「舎利」の稽古を受けました。
稽古の最後に満次郎師より、「韋駄天とのハタラキは、もっと宇宙的な広がりを感じさせるように舞わないと。」
とご注意をいただきました。
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「舎利」の詞章によれば、シテ足疾鬼とツレ韋駄天の追いかけっこは、
欲界→色界→無色界→化天→耶摩天→他化自在天→三十三天→帝釈天→梵王天→元の下界
という風に展開されるようです。
それぞれの世界について少し調べてみたのですが、ひと言で言って「スケールが大きすぎてよくわからん」という感じでした。
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例えば「三十三天よじ登りて」という謡でシテ足疾鬼は舞台から高さ20数cm程の一畳台の上に上がります。
しかし”三十三天”とは、「80000由旬の高さの須弥山の頂上にある」そうで、ちなみに1由旬はおよそ11〜14kmだそうです。
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つまりひと足「よいしょ」と台に上がるだけで、約100万kmの高度差を駆け上がったことになるのです。
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このように足疾鬼と韋駄天が通り抜けた重層的で超巨大な天上界を、舞台と橋掛り、また舞台に置かれた一畳台を移動する中で表現しなければなりません。
しかしそのような荒唐無稽な表現は、能楽だからこそ可能なのだとも言えます。
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非常に難しいことではありますが、「宇宙的なスケール」で舞えるように頑張って稽古して参りたいと思います。