左右逆転
今日は田町稽古でした。
仕舞の稽古を昨年から始められた方が、今は3つ目の仕舞「猩々」を稽古されています。
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「先生すみません、今日は先生の舞を後ろから撮影させてもらえませんか?」
稽古の冒頭で、その方から上のようなリクエストが。
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確かに、正面から撮影した映像を見て稽古すると型が逆に見えてしまいます。
一旦脳内で映像を逆転させて、それをなぞって稽古するというのは慣れて来ないと難しいと思われます。
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昔東京芸大時代に、太鼓の観世元信先生が手を完全に左右逆転させて稽古しておられました。
“カシラ”の手も、右撥を左肩に持っていく訳です。
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そしてシテ方でも、仕舞の稽古の時にはお弟子さんに正対して型を左右逆転でされる方がいると聞いたことがあります。
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私は不器用なのでそのようなことは出来ず、澤風会稽古の時は会員さんの斜め前に同じ方向で立って、顔だけ振り返って説明しながら稽古する方法をとっております。
しかしこれだと、私が振り返る時に会員さんまで一緒に後ろを振り返ってしまうという、笑い話のようなことが起こってしまうのです。。
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背後から撮影するか、正面から左右逆転で稽古するのか。これは意外と難しい問題です。
しかしおそらく近い将来には立体映像の撮影が可能になり、あらゆる方向からシテの動きが見られる時代が来るのではないでしょうか。
その時にはきっと、こういった苦労自体が笑い話になっていくのでしょう。