能「望月」の早替わり

一曲の能の中でシテが装束を着替える場合、

①いったん中入して楽屋で着替える。

②舞台上の作り物の中で着替える。

③舞台上で後見が着付ける(物着と言われます)

の3つのパターンがあります。

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しかしごく稀に、

④舞台上でシテが自分で着替える。

という場合があるのです。

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今日の「別会能」の最後にあった能「望月」が、その珍しい曲のひとつでした。

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後シテは「獅子舞」を舞う装束で登場しますが、僅かな手順でその外見がクルリと変わるような装束の工夫がしてあります。

その早替わりの場面は何度か観ましたが、見慣れてもなお新鮮な驚きがあります。

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もちろんその分シテの負担が大きく、楽屋で色々と特殊なやり方でシテ自ら着付けをしなければならないのです。

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今日の「望月」のシテは宝生和英家元でした。

非常に鮮やかな早替わりに、今回もまた”ハッ”と新鮮な驚きを感じたのでした。

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