氷室と野守と鵜飼の共通性
今年の澤風会の舞台がおかげさまで3月の水道橋、8月の七葉会、10月の京都、先日の松本と全部無事に終わって、しばらくはゆったりと通常運転です。
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今日は夕方から田町稽古でした。
謡は「氷室」を稽古しています。
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後シテ氷室神が氷を持って現れる場面で、その氷を「萬境を映す鏡の如く」という謡で表現しています。
この”萬境を映す鏡”とは、すなわち能「野守」のシテが持つ”野守の鏡”のことです。
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前から不思議に思っていることがありました。
能「氷室」と「野守」の後シテは、同じ「小べしみ」という面を掛けており、装束もほぼ同じです。
更に持ち物である「氷」と「鏡」が似通っています。
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そしてもう1番、能「鵜飼」の後シテ閻魔大王もまた、能面「小べしみ」を掛けて上の2番と似た装束なのです。
「野守」の後シテは、曲の最後に「奈落の底」へと帰って行きます。
“奈落の底”は閻魔大王のいる”地獄”と同じか、若しくは近い場所だと思われます。
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①「氷室神」の持ち物”氷”と「野守の鬼」の持ち物”鏡”の類似性。
②「野守の鬼」と「閻魔大王」が同じ”奈落の底”に存在すること。
③3曲の後シテの能面と装束が似通っていること。
以上の①②③を考え合わせると、これら3曲の後シテは近い属性を持っているように思えるのですが、今のところ何も根拠が見つかりません。
「神」と「鬼神」と「閻魔大王」は、全く別個の存在とも思えますが、果たして…?
何かご存知の方は、ヒントでも良いので教えていただけると有り難く存じます。
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わかったことがあれば、またご報告させていただきます。