舞台に漂う”熱気”

日曜日の澤風会京都大会では、今回も舞台上において、出演者の皆様の”熱気”を強く感じました。

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充分に稽古を重ねた人の本番の舞台では、独特の熱が発散されている気がします。

自らの気力、体力、或いは時間を、相当な割合で能や仕舞や謡に注いで来られた人は、やはり並々ならぬ覚悟で本番に臨まれるのでしょう。

その”気迫”や”気合”というようなものが目に見えない熱になって放射されて、見所や地謡にまで届いていくのだと思います。

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例えば能「小袖曽我」の十郎五郎兄弟の火を噴くような強い演技。

曽我兄弟の母の愛情を込めた怒りの謡。

初めての舞囃子「玉葛」のシテの、究極の緊張感。

無本の素謡「熊野」に臨む京大宝生会OBOGの若々しい矜持。

小学生ながら物怖じせずにクールに舞台を勤めた男の子の弾けるような自信。

などなど…

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それぞれ種類は異なりますが、今回の澤風会の全ての舞台には”熱気”が漂っていました。

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私の仕事は、ある視点から見ると「誰かの潜在的なパワーを、稽古によって”熱の込もった舞や謡”に変換して、それを舞台上で発散させるためのお手伝いをする」

とも言えるかもしれません。

そしてその熱気の発散を澤風会の舞台で味わうのが、私にとっては無上の幸せなのです。

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また次の舞台に向けて、皆様のパワーをいただきながら稽古して参りたいと思います。

会員の皆様どうかよろしくお願いいたします。

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