大江能楽堂での稽古
今日はまた朝早く東京を出て、京都に向かいました。
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澤風会京都大会の本番がいよいよ明々後日になり、今日は大江能楽堂をお借りしての稽古だったのです。
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大江能楽堂はその昔私が京大宝生会に入部した直後に、京都においての初舞台を踏んだ能楽堂です。
当時から非常に風格のある黒光りした舞台でしたが、今年はなんと築110周年を迎えられるそうです。
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舞台の大小前から正先までのラインが、110年間の摺り足によって削れて白くなっています。
同様に、角と常座も円形に白く浮き上がって見えます。
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実はこれが学生や会員さんにとってはとても良い目印になるのです。
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「舞囃子で最初に立ち上がったら、シテ柱を目指して運んで行って、白くなっている線上に来たら掛けて前を向いてください。」
とか、
「角取りは、ちゃんと角の白い部分の真ん中に行ってからやってください。」
と言った風に注意出来るので、こちらも何かと稽古しやすい舞台なのです。
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全くの仮の計算なのですが、1日に平均30回大小前から正先まで摺り足をしたとすると、110年間ではなんと120万回になります。
気の遠くなるような数の人々が、正しい道筋を摺り足で運んだ結果出来た”白いライン”なのです。
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これもまた先人達からの「この線上を運べ」という一種のメッセージと捉えることができるかもしれません。
舞台上で正しい場所を使って舞うということの意味を、大江能楽堂の舞台は我々に教えてくれている気がします。
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今日の稽古も充実した内容で無事に終わりました。
あとは本番です。
歴史ある大江能楽堂の舞台で、思い切って稽古の成果を発揮していただきたいと思います。